第一部−2− 宇宙の科学

このページの目次
第7章 宇宙の構造(1)
1. 星雲と星団
a.星雲
b.星団
  (1) 散開星団
(2) 球状星団
用語と補足説明
参考になるサイト

第7章 宇宙の構造(1)

1. 星雲と星団

a.星雲

 宇宙空間にはガスが漂っており、これを星間ガス(おもに水素ガス)という。銀河系内での星間ガスの平均密度は1cm3あたり1個程度である(「地球と宇宙の小事典」(岩波ジュニア新書、2000年5月))。地球の地上付近の空気中の分子の数は、1cm3あたり1024個(1兆の1兆倍)以上ある。いかに宇宙空間が希薄であるかがわかる。こうした星間ガスは、均一に分布しているのではなく、ある部分は密度が高く、ある部分では低くなる。密度が高くなった星間ガスが光って見えたり、逆に背後の光を隠す場合がある。こうしたもが星雲としてとらえられる。

 星間ガスの近くに高温の恒星があると、その熱で水素ガスが熱せられて、水素ガスがみずから光を出すことがある。また、星間ガス・固体粒子(星間塵)が恒星の光を反射して光ったりすることもある。こうしたものを散光星雲という。

 巨星は不安定になって振動をを始めると脈動変光星になるが、その振動が大きくなって恒星の大気全体が構成から飛び出してリング状に広がっていくことがある。中心部に白色わい星が残る。これが惑星状星雲である。また、かに星雲のように、超新星爆発で放出されたガスが光っているものもある。さらに、近くに高温の恒星があるとそれに熱せられた星間ガスも高温になり、みずから光り出すこともある。オリオン星雲やばら星雲がそうである。

 また、濃い星間ガスや固体粒子が近くの恒星の光を反射して光っていることもある。プレアデス(すばる)の恒星のまわりにもそのようなものが見られる。

 一方、背景の光を隠している星間ガス・粒子もある。これが暗黒星雲である。オリオン座の馬頭星雲がそうである。背景の散光星雲の光を隠して馬の頭の形に見えている。

惑星状星雲M57 オリオン星雲M42
ばら星雲 暗黒星雲の馬頭星雲
国立天文台 天文情報普及室:http://www.nao.ac.jp/Gallery/index.html
なお、M57などのM57はメシエ天体の57番という意味である。

 また本当は恒星の大集団なのだが、あまりにも遠すぎて恒星が分離して見えないために星雲のように見えるものも多い。例えばアンドロメダ銀河もかつてはアンドロメダ星雲と呼ばれていた。

b.星団

 恒星は集団をつくっている場合がある。恒星の集団を星団という。星団には2種類ある。

(1) 散開星団

 数十個〜数百個の恒星が20光年くらいの範囲で不規則な形で集まっている。有名なプレアデス星団(すばる)もそうである。散開星団は銀河系の円盤面の腕の部分に多く分布している。散開星団の中の明るい恒星は青い色をしたO型、B型の主系列星である。散開星団に属する恒星でHR図をつくると、ほとんどが主系列星である。また、鉄よりも重い元素を含んでいることも特徴である。鉄よりも重い元素(重元素)は超新星の爆発の際にできるので、散開星団は超新星爆発の際に吹き飛ばされた元素からできたものであることがわかる。こうした散開星団に属する恒星を種族Iの恒星ということもある。太陽も重元素をかなり含んでいるので、種族Iの恒星である。

(2) 球状星団

 数万個〜数百万個の恒星が数百光年の範囲に球状に集合している。球状星団そのものも銀河系の中心を中心に分布している。球状星団の中の明るい恒星は巨星である。球状星団に属する恒星でHR図をつくると、O型、B型などの恒星は見られず、巨星が多い。また鉄よりも重い元素の含有量は種族Iの恒星の1/10〜1/100程度である。こうした特徴を持つ恒星を種族IIの恒星ということがある。

 ケフェイド変光星変光周期光度関係も、種族Iと種族IIで少し異なるので注意が必要である。同じ変光周期でも、種族Iの方が明るいのである。このことについてはこちらも参照

銀河系と散開星団・球状星団の分布
散開星団M45(プレアデス)、恒星のまわりに星雲も見える。 球状星団M3
国立天文台 天文情報普及室:http://www.nao.ac.jp/Gallery/index.html

散開星団と球状星団のHR図(1993年センター試験地学IB追試験)

戻る  このページのトップへ  目次へ  home


用語と補足説明

メシエ天体フランスのシャルル・メシエという天文学者が、18世紀後半に星雲・星団・銀河などのリストをつくった。これをメシエ・カタログ(M1〜M110まで)といい、このカタログに載っている天体をメシエ天体という。彼自身は彗星を探していて、彗星と紛らわしいもののリストをつくったのである。こうしたカタログには他にNGCカタログなどもある。

NGCカタログ天王星の発見者ウィリアム・ハーシェル(1738〜1822)も大規模な星雲・星団の観測を始めた。息子のジョン・ハーシェル(1792〜1871)はそれを引き継いで星雲・星団のカタログを1864年に完成させた。さらにドライヤー(1852〜1926)は、ハーシェルのカタログを改良し、NGC(New General Catalogue of Nebulae and Clusters of Stars,1888)カタログとして発表した。かれは、さらにIC(Index Catalogue,1895; Second Index Catalogue,1908)もつくった。。NGCは7840番まで、ICは5386番まである。

戻る  このページのトップへ  目次へ  home


参考になるサイト

戻る  このページのトップへ 目次へ  home