リサイクル 回るカラクリ止まる理由 安井至 日本評論社
ISBN4-535-04826-6 1,600円 2003年6月
目次
はしがき
1章 なぜリサイクルをするのか
2章 材料のリサイクル
3章 製品のリサイクル
4章 「循環」を見直す
5章 他山の石−外国の現状と比べる
6章 未来社会とリサイクル
あとがき
索引
いろいろなものについて、リサイクル、リユース(再利用)、リデュース(使用制限)のどれが適しているのか、コスト、エネルギー、二酸化炭素排出量など面から検討する。
一方的なエントロピー増大(=品質劣化、汚染)を避けるためには、絶対にエネルギーが必要である。これがリサイクル。カスケード利用(品質を下げながら利用する)なども含めて、適切な循環・適切な製品を考える必要があるという。
「トータルリスクミニマム思想に基づく持続型消費の実現」を目指すという結論を導く。妥当な線だと思うが、“トータルリスクミニマム”をどう見積もるのかで、具体的な問題を考えるときに意見が異なるものが出てくるであろう。この本でも、核融合炉に対する評価(トリチウムの危険性をいっている)と高速増殖炉(プルトニウムの危険性はいっていない)に対する評価は矛盾していると思う。
なお、この本のメンテナンスは筆者のホームページで行う予定だそうである。なお、どうでもいいことではあるが、このホームページの「今月の環境」(9月2003年)を見ると、怪しげな「南関東大地震説」(2003年9月17日ころに南関東で大地震が起こると「予報」下人がいてマスコミでも話題になった)に揺れ動く気持ちが読み取れる。「環境」の専門家でも、こうした怪しい説に惑わせられるのだなあと思った。
シリーズ 地球と人間を考える
01 地球温暖化
02 ダイオキシン
03 酸性雨
04 環境ホルモン
05 エネルギー
06 リサイクル
2004年1月記