源義経

源義経 五味文彦 岩波新書新赤914
ISBN4-00-430914-X 740円 2004年10月

目次
はじめに
I 幼きころ −史料の性格を考える
II 童の時代 −『平治物語』の世界
III 英雄への階梯 −『義経記』の世界
IV 英雄時代 −『吾妻鏡』の世界
V 義経の力 −文書から探る
VI 合戦の英雄 −合戦記と物語
VII 頼朝との対立 −書状の役割
VIII 落日の義経 −宣旨と院宣
IX 静の物語 −『吾妻鏡』と『玉葉』
X 奥州へ −記録と伝説
おわりに
参考文献
義経関連略年表
あとがき
索引

 苦労した幼少時代、一転して合戦の英雄となり、さらに一転して兄頼朝に追われる身になってしまう、そして31才の若さで殺されてしまった義経。だがその実像は、伝説の霧の中に入っているので、見えにくい。この本は、史料を吟味しながら、義経像に迫ろうとするものである。

 梶原景時が「侍の主にはなり難し」と評した通りの人物だったのだろう。戦はうまくても、全体を見通す戦略、政治的な手腕、一部の側近以外からの人望はないなど。

 もっとも政治的手腕に長けた兄頼朝も、一族を疑うがあまり親族をみんな殺してしまって、源家はすぐに滅んで北条氏に実権を奪われることになるのだが。

 歴史に“もし”はないが、藤原秀衡がもう少し生きていたらどうなったのだろう。

 旧日本軍が、この義経の戦法(鵯越に代表される奇襲作戦)に固執していたことも合わせ考えると面白いと思う。「失敗の本質」「参謀本部と陸軍大学校」参照。

 

※ 最近「義経本」が相次いで出版されているのは、来年のNHK大河ドラマが義経だかららしい。

源義経
義経伝説と日本人

2004年11月記

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