失敗の本質 日本軍の組織的研究

失敗の本質 日本軍の組織的研究
戸部良一・鎌田仲一、村井友秀、寺本義也、杉之尾孝生、野中郁次郎
中公文庫、ISBN4-12-201833-1 762円+税 1991年8月初版 2003年2月22刷

目次
はしがき
序章 日本軍の失敗から何を学ぶか
1章 失敗の事例研究
 1 ノモンハン事件
 2 ミッドウェー作戦
 3 ガダルカナル作戦
 4 インパール作戦
 5 レイテ海戦
 6 沖縄戦
2章 失敗の本質
3章 失敗の教訓

 先の戦争を大東亜戦争と書く人たちの本であるので、その立場ははっきりしている。だから、民衆からの視点がないなどという批判は、この本には意味がない。だが、この本は高級官僚の必読の書、たぶん企業のエグゼクティブにも必読の書らしいので読んでみた。オリジナルは、1984年にダイヤモンド社から出版されている。

 具体的な6つの戦闘について、その敗因を分析する。そして、日本軍に特有な(もしかすると、現在の官僚組織、いや官僚組織ばかりではない?)の欠陥を指摘する。いわく、戦略目的がはっきりしていない、主観的な情勢分析、「空気」「人情」に支配される会議、属人的組織、硬直的な思考、精神主義、失敗を教訓化できない、アンバランスな技術などが挙げられている。それ自体は正しいだろう。

 今日の官僚組織はどうだろう。

 私には、日本軍の失敗はもっと総合的なもので、一言でいえば目的も戦略も(正しく)なかったということだと思うのだが。

2003年7月記

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