第二部−2− 地球の科学

第15章 付加体

目次
1. 付加体
用語と補足説明
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1.付加体

 大洋を横断して海溝で潜り込むプレートの上には、分厚い堆積物が積もっている。これらの堆積物は、プランクトン(珪藻など)の遺骸や宇宙から飛び込んできた細かい塵(宇宙塵)がおもであり、100年で数mm程度のゆっくりとした速さで堆積する。ただし、100年で1mm(10-5mm・年)としても、大洋を横断するのに2億年かかるとすると、10-5m・年-1×2×108年=2×103m(2000m)の厚さになる。こうした堆積物を乗せたプレートが海溝で沈み込む。

 ほかに、途中でホットスポットがあればそこで誕生した火山島も運ばれていく。この火山島は途中で沈み海山(ギョー)となる。暖かい海であればサンゴ礁がその上に分厚く成長している。また、海嶺でのマグマの噴出でできた枕状溶岩も運ばれてくる。

 さらにプレートが大陸に近づくと、大陸起源の堆積物も加わる。とくに海溝では混濁流(乱泥流)で運ばれた堆積物が分厚く堆積している。

 これらは軽いので、プレートが潜り込むときに大陸のプレートがブルドーザーの役割を果たしてはぎ取られ、陸のプレートに付加していく。これが付加体である。プレートテクトニクスの章で紹介したサイトの<(2.9) : The Process of Subduction>のアニメで、付加の様子を見ることができる。

 付加体のワンセットは一番下にはぎ取られた海洋プレート、その上に海嶺で生産された枕状溶岩、その上に遠洋性の堆積物(岩石になればチャート頁(けつ)岩)、そしてその上に陸源性の混濁流堆積物という順である。このワンセット下の方から逆断層で次々と付加されていく。ただし、付加体は地質活動の活発な海溝付近で形成されるため、こうした構造が乱されていることも多い。

 秋吉台のような巨大な石灰岩の岩体は、このようにして南の方から運ばれてきたギョーの上で発達したサンゴ礁が付加してできたものだと考えられている。

 こうして陸に貼り付いた海洋性の岩石(層)がオフィオライトである。また、付加の過程でぐしゃぐしゃになったメランジュという構造になっていることがある。

 大陸の端にある海溝では、こうした付加により大陸が外側に成長していると考えられている。


付加体の概念図:秋吉台科学博物館
http://www.ymg.urban.ne.jp/home/akihaku/kagaku.site/oitachi.site/oitachi.html

 

深海掘削船ジョイデス・リゾリュージョン号による四国沖の掘削。
上:掘削地点 中:超音波探査による地下構造(赤はボーリング) 下:模式図(付加体がよくわかる)
http://www-odp.tamu.edu/publications/prelim/196_prel/prel7.html

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用語と補足説明

深海掘削船ジョイデス・レゾリューション号1960年代後半から活躍したグローマー・チャレンジャー号が老朽化したので、その後継船として登場した。ただし、科学研究を目的として建造された船ではなく、石油探査用の船を流用したものである。これも老朽化したので、その後継として建造されているのが「ちきゅう」である。

グローマー・チャレンジャー号
USGS:http://pubs.usgs.gov/publications/text/glomar.html
ジョイデス・レゾリューション号
http://www-odp.tamu.edu/resolutn.html
ジョイデス号の心臓、ボーリング先端のビットと呼ばれるダイアモンドの粉を付けた刃が見える。これを回転させて掘り進む。
http://www-odp.tamu.edu/dsd/
採集したコア・サンプルを調べる、2003年5月〜7月の大西洋調査航海(209回目の調査航海)。次の210回目で引退。
http://www-odp.tamu.edu/public/life/209/week2/

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