第二部−2− 地球の科学

第8章 鉱物(2)

目次
3. 主要鉱物
a.
b.硬さ
c.割れ方
d.光学的性質
4. 主要鉱物各論(1)
a.石英
用語と補足説明
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3.主要鉱物

 地殻を構成する岩石、とくに堆積岩や変成岩のもとともいえる火成岩を構成するおもな鉱物は6種類あり、それを主要鉱物という。主要鉱物はすべてケイ酸塩鉱物である。

 主要鉱物は無色(灰色を含む)の無色鉱物と、色が付いている有色鉱物にわけられる。無色鉱物としては石英と長石の2つ、有色鉱物としてはかんらん石、輝石、角閃石、雲母(黒雲母)の4つである。

 すべてSiO2四面体が骨格を作り、その間に陽イオンが入り込んでいる。一つのケイ素イオン(Si4+)に対する酸素イオン(O2-)の数は、石英が2つ、かんらん石が4つ、輝石が3つ、角閃石が2.75、雲母が2.5である。また長石はSiの一部がアルミニウム(Al)に置き換わっている。つまり、石英だけはこれで電気的に中性になっていて、他の陽イオンが入り込む余地がない。逆にいえば石英はこれで安定な状態になっていると考えられるし、実際にも非常に安定な鉱物であり風化に対する抵抗力が強い。

 他の鉱物は酸素だけだと電気的にはマイナスになってしまうので、マグネシウムイオン(Mg2+)、鉄イオン(Fe2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)などの陽イオンが入る。

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4.主要鉱物各論(1)

a.石英

 化学組成はSiO2。SiO4の4面体の頂点のOが隣り合う4面体どうしで共有されている形になっている。

  同じ化学組成SiO2でも、さまざまな結晶の形をとることがある。こうした関係を多形(同質違像)という。

 

石英の結晶
東京工業大学地球史資料館:http://www.mue.titech.ac.jp/tenji/koubutsu02/index.html

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用語と補足説明

多形鉱物の中には化学組成が同じでも、温度・圧力の条件により、異なる結晶の形になることがある。これを多形という。有名な例では炭素(C)がつくる結晶でも、常温・常圧下では石墨という形になり、高温・高圧のもとではダイヤモンドという形になる。温度・圧力の条件によりどちらの状態(結晶形)をとるかということを表わした図を相平衡図という。

 CaCO3も方解石とアラレ石という多形関係の結晶形がある。

 石英も温度・圧力の条件によりさまざまな結晶形をとる。炭素や石英の相平衡図は下を参照。

石墨:九州大学総合研究博物館(高荘吉鉱物標本)
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/SPECIMEN/KOUHYOUHON/menu.html
ダイヤモンド:群馬県立自然史博物館
http://www.gmnh.pref.gunma.jp/musetheque/col/searchList.do?searchType=2&hdicId=970&startNo=1&listType=2

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相平衡図物質がいろいろな状態を取りえるとき、温度・圧力などの条件によりどの状態(鉱物では結晶の形)が安定であるかを示す図を相平衡図という。また、物質がある状態から別な状態に変わることを相転移という。水(H2O)は1気圧のもとでは0℃よりも温度が高ければ水(液体)、0℃よりも温度が低ければ氷(固体)という状態をとり、0℃でのみ水と氷が同時に存在できる(共存できる)。水から氷、氷から水へ形を変えることも相転移という。

 下に炭素(石墨−ダイヤモンド)の相平衡図を示す。地球内部では深さ100kmごとに約3万気圧(3GPa(ギガパスカル))くらいの圧力がかかる。ダイヤモンドは地下数百kmよりも深いところでできるということがわかる。

 炭素の相平衡図を見ると、圧力が高い時にはダイヤモンド、圧力が低いときには石墨という形が安定であることがわかる。つまりふだんわれわれが生活している常温(15℃程度)、常圧(1気圧)のもとでは、石墨が安定なはずである。しかし、常温・常圧の世界では石墨からダイヤモンドに形を変えるエネルギーが得られないので、ダイヤモンドは石墨に形を変えることができないのである。なお、ダイヤモンドは炭素からできているので、酸素がある状態で高温にすると燃えてしまう。ダイヤモンドについてはこちらも参照

 石英(SiO2)の相平衡図を下に示す。地球内部では深さ100kmごとに約3万気圧(3GPa(ギガパスカル))くらいの圧力がかかる。

 ふつうわれわれが見ることができる石英は低温型石英でる。それほど圧力が高くないときは、温度を上げていくと高温型石英になる。そのまま温度を上げていくとリンケイ石(トリディマイト)、クリストバライトという形になり、もっと温度を上げると融けて液体になる。圧力を上げていくと、コーザイト(コーズ石)、さらに圧力を上げていくとステショバイト(ステショフ石)という形になる。

 コーザイトやステショバイトは超高圧実験装置が発達してきたことにより、人工的に作られた形であった。ところがのちになって、バリンジャーいん石孔で発見された。つまりいん石の衝突のさいに発生した衝撃波による超高圧でふつうの石英がこうした超高圧でできる形になったのである。逆に、カルデラ状の窪地からコーザイトやステショバイトのような超高圧でできる鉱物が発見されると、そこはいん石孔である可能性が高いということになる。

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