複雑な地球環境を研究するには、どのような手法が必要であろうか。
ある入力に応答して、ある決まった出力があるものをシステム(系)という。例えば、自動販売機はお金を入れると、欲しいものが出てくる。自動販売機の仕組みはわからなくても、これがわかっていれば自動販売機を利用できる。細かいメカニズムは解明できなくても、全体的な原因−結果の関係がいえることがある。自然界にもこのようなものが多い。
もう少し複雑なシステムには、フィードバックというものがついている。出力の一部を入力に戻して、全体を制御するものである。例えばTVはスイッチを入れれば映像が出るが、それを見ておもしろくなければチャンネルを変えるといったものである。
フィードバックには2種類ある。エアコンは、温度を一定にするようなフィードバック制御を行っている。設定した温度より室温が上昇したら運転能力を落とし、室温が下降したら運転能力を高めて、つねに室温が一定になるようにしている。あるいは日常でも、ある試験で成績がよかったとすると、安心して勉強をしない、次の試験で下がるとこれはいけないと思い勉強する、という具合に成績を一定に保つというのもある。これらのように、出力(結果)を一定に保つようなフィードバックを、負のフィードバックという。
反対に、室温が上がったらさらに運転能力が高くなる、室温が下がったら運転能力を低くするようなフィードバックをつけたら、エアコンとしては使えない。このように、出力が上がったらさらに上がるように、出力が下がったらさらに下がるように働くものを、正のフィードバックという。例えば、ある試験でいい成績を取った、そこで勉強がおもしろくなってますます勉強をする、次の試験ではますますいい成績になる、というのも正のフィードバックである。逆に、ある試験で悪い成績をとった、そこで勉強がおもしろくなくなりますます勉強をしなくなる、次の試験ではますます成績が下がる、というのも正のフィードバックである。出力が増えようが減ろうが、出力の傾向を増大するように働くのが、正のフィードバックである。言葉に価値観を含めるときは、雪だるま式とか、悪循環とかいうこともある。
システム(系)に負のフィードバックがついていると、そのシステムは安定な状態になる。反対に、システムに正のフィードバックがついていると、そのシステムは不安定な状態になる。自然界や社会には、正のフィードバックも負のフィードバックもある。実例は自分で考えてみよう。