エネルギー資源は、一度消費されると再生されないものが多い。果たして、人類の消費に耐えるだろうか。
すでに、火力・原子力発電所のまわりでは、冷却水(タービンを回した水蒸気を水に戻すためのもの)が暖められ、温排水として環境中に放出されている。また、日常的な家庭電気製品もかなりの熱を放出していることは経験的に知っているだろう。どんなにクリーンなエネルギー源であろうと、人類が使ったエネルギーは最終的にはすべて熱となり(熱力学第2法則)、自然界に排出される。
人類が生産したエネルギーがこのまま増えると、地球環境が維持できなくなる可能性がある。例えば核融合など、事実上無制限に使えるエネルギー源が開発されても、人類が地球上で使えるエネルギーにはおのずと限界がある。これについては6・3参照。
じつはすでに、「都市気候(ヒートアイランド現象)」という形で熱汚染は現実化している。
日本のエネルギー消費量は、二度にわたる「石油危機(石油ショック)」のときに若干下がったが、だいたい右上がりに上がっている。かつての日本のエネルギー消費は、産業部門の割合が多かったが、最近は民生部門の割合もほかの先進国なみになっている。
最大の問題は、海外依存度が高いということであろう(約96%)。1960年代のエネルギー自給率は50%を越えていたのに、現在では4%近くまで落ちている。なお、下の図3-9では、原子力を含む場合のエネルギー自給率を約16%と併記しているが、原子力発電に必要な肝心のウラン鉱石ばかりか、濃縮ウランまでも輸入しているので、とても自給しているとはいえないだろう。原子力の問題については<4 原子力>で述べる。
図3-8 日本のエネルギー消費の推移(第1次石油危機は1972年から73年、第2次石油危機は1979年から80年)。 資源エネルギー庁エネルギー白書2010 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010/index.htm |
図3-9-b エネルギー供給の構成と自給率の推移(構成率は2007年で石油約50%、石炭20%、天然ガス14%、原子力12%)。図3-13も参照。 資源エネルギー庁エネルギー白書2010 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010/index.htm |
各国の一次エネルギー海外依存度(輸入依存度):四国電力http://www.yonden.co.jp/life/kids/teacher/datashu/sigen8.html | |
図3-9-c 原油の輸入先(中東依存度)。石油危機のあと中東依存度が一時下がったが、再び90%を越えるようになった。 資源エネルギー庁エネルギー白書2010 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010/index.htm |
図3-10 主要国の一次エネルギー構成 電気事業連合会http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/shuyoukoku/index.html |
図3-11 日本の電源別発電構成の推移(全体の伸びを原子力でまかなう計画である) 四国電力http://www.yonden.co.jp/life/kids/teacher/datashu/sigen8.html |
図3-12 各国の電源別発電構成。フランスの原子力発電依存度とブラジルの水力発電依存度が突出している。 電気事業連合会 http://www.fepc-atomic.jp/library/zumen/index.html |
図3-13 日本の一次エネルギー供給実績 資源エネルギー庁エネルギー白書2010 http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010/index.htm |