単位は語る

単位は語る 森川鐵郎 技報堂出版
ISBN4-7655-4453-2 1,500円 2006年12月

目次
まえがき
単位は「くくる」とみえてくる
マクスウェル先生はこう教える
物理量の世界をゆく
歴史と文化を語る
付録

 単位の使い方を解説するというよりも、単位の意味を考える本。とくに「物質量モル」について、「モルは個数ではない」という筆者の見解が述べられている。

 たしかにモルという単位(物差し)そのものは個数ではないが、モルという単位の背景には「個数」があり(0.012キログラム(kg)の炭素12の中に存在する原子の数に等しい要素粒子を含む系の物質量」)、その個数はアボガドロ数と密接不可分といってしまった方がわかりやすいと思う。実際筆者も「銭枡」「いんげん豆」を例に出しているわけだし。つまり、物質量モルが等しいということは、その構成要素(原子、分子)の数(個数!)が等しい、これをきちんといった方がいいと思う。これが逆に原子・分子の実在の実感につながる。

 これとは別に、「法則は単位系とは独立に」という節もある。少しずれるが、わたしは生徒には「法則は式を覚えるのではなく、意味を理解すること。」といっている。例えば万有引力の法則は、f=GMm/r^2と式を丸暗記するのではなく、「万有引力は、質量の積に比例し、距離の二乗に反比例する力である」という具合に。

 物理定数とSI単位系 佐藤文隆

 SI単位系についてはこちらも参照
 電磁気の単位になった人についてはこちらを参照

2007年5月記

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