異色と意外の科学者列伝

異色と意外の科学者列伝 佐藤文隆 岩波科学ライブラリー127
ISBN978-4-00-007467-4 1,200円 2007年1月

目次
はしがき
1 この科学者の職業は?
 コペルニクス(1473-1543)
 フラウンホーファー(1787-1826)
 メビウス(1790-1868)
 グリーン(1793-1842)
 フリードマン(1888-1925)
2 電磁気の単位の侍たち
 ヴォルタ(1745-1827)
 オーム(1789-1854)
 ファラデー(1791-1867)
 テスラ(1856-1943)
3 19世紀のドイツと英国
 ドイツ純粋数学の勃興 公教育を足場に新学問
 理論物理学者の起源 トライパスと員外教授
 天文学工場 グリニッジ天文台
 ラザフォード(1871-1941)
4 大物科学者 科学と国家
 ケルヴィン(1824-1907)
 ネルンスト(1864-1941)
 オッペンハイマー(1904-1967)
あとがき
参考文献

 もともとはいろいろなところに発表したものをまとめたものなので、全体の統一感はない。「3 19世紀ドイツと英国」は科学を支えた社会の話が多い。かつてのトライパスという試験制度の重みは大変なものだったようだ。

 ケルヴィンのようにサーからロードの爵位も与えられ、大金持ち(大きなお城や120トンのヨットも持っていたという)になった人もいる。

 「原爆の父」オッペンハイマーは、たんなる行政的な発想で水爆の開発に反対しただけで、とくに平和主義者ではなかったという見方も初めて知った。

 ちなみにコペルニクスの司祭・医師は知っていたが、フラウンホーファーのガラス職人、メビウスの天文学者、グリーンの粉屋の主人、フリードマンの気象学者は知らなかった。

 また、ラザフォードはほんとうはニージーランド人で、出身大学のニュージーランドのカンタベリー大学では大変な誇りのようだ。本人は死後ウェストミンスター寺院に埋葬されたそうだが、奥さんはすぐにニュージーランドに帰国したという。また、ケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所のラザフォードの研究室あとは、大変な放射能が残っていたという。

  電磁気の単位については、同じ佐藤文隆の「物理定数とSI単位」参照。

2007年2月記

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