物理定数とSI単位 佐藤文隆 岩波書店(物理の世界)
ISBN4-00-011185-X 1,400円 2005年9月
目次
まえがき
1 物理と単位系
2 SI単位系
3 電磁気の単位
4 単位を定義する現象
CODATA基本物理定数
参考文献
索引
帯の「電子質量をkgで…」は著者の言ではない。そのあとに「どうせ20数桁も小さいものを表すのだから g と kg の3桁の差は本来どうでもいいはずで、これは八つ当たりである。」と続く。
だがその前には、「オングストロームやミクロンが消されることにも、ひっかかるものがある。cgsとMKSの差はデスクトップでの従来の実験のサイズと工学的な装置のサイズの差を引きずった業界の差を反映したもので根は深い。」ともある。
地球や宇宙を取り扱うときは、MKS(SI単位系のもと)は値が小さくなって、不便なことも多いので、共感を覚える。
さらにもっと前には、「『照度』とは所詮単位面積・単位時間あたりのエネルギー流であり、『モル』も物質量は原子集団の個数だと思い描いてしまうと定義は不要に思える。このあたりは光学や化学などの、応用が重要な科学技術業界のごり押しのようにも見えてきて、ますますSI単位系は基礎的な物理学には縁のないものに見えてくる。」…「単位系の問題はたんなる物理学の問題でないこと、社会的存在としての科学の姿が見えてくる。」ともある。
もちろん、この本ではSI単位系そのものの説明、さらにより高い精度を目指す新しい定義(の提案)の紹介もある。
SI単位系についてはこちらも参照。
電磁気の単位になった人についてはこちらを参照。
単位の意味についてはこちらを参照。
2005年10月記・2007年5月追記