2014年7月24日〜26日、北アルプス北部の
このコースは32年前と7年前に行ったことがあります。1日の行程が長いコースです。32年前はまだ小さかった子供たち(8歳、5歳)を連れて行ったので大変でした。7年前は自分の体力が落ちてしまっていたのでまた大変でした。今回はもっと体力が落ちているのでさらに大変でした。もうこの体力ではこのコースは訪れることができないでしょう。今回は去年の常念岳〜蝶ヶ岳のコースと同じ、4人のパーティで行ってきました。また白馬岳までは前々回、前回と異なり、蓮華温泉〜白馬大池〜小蓮華経由で白馬岳に登りました。
(1) 1日目(7月24日)
前日の9時ころに自宅付近の駅でパーティが集合。中央高速から長野道に入り、豊科ICで降りて、後は国道375号を通り平岩まで。平岩から蓮華温泉までは林道(舗装)です。蓮華温泉ロッジには15時ころに到着しました。4人なので個室(チャージ料2,000円)を予約しておきました。手続きをして部屋に入り、すぐに立派な内湯(酸性硫化水素型含硫黄温泉)に入ったあとは生ビール(700円)を飲んでゆっくりします。夕食時にもまた生ビールを頼んでしまいました。夜は早く寝ます。
24日は5時45分に朝食です。朝からどんより曇り、雨も降ってきました。雨の中、6時45分に出発します。10時45分に白馬大池に到着。雨はますます強くなり、小蓮華から降りてきた人の話では、稜線に出るとものすごい風だということです。少し迷いましたが、強行することにしました。11時に出発。雷鳥坂の登山道でライチョウが現れ、しばらく登山道を先導してくれました。
確かに稜線に出るとものすごい風、体がふらつくほどです。雨も強い。暴風雨の中の登山となりました。途中、風を受けない場所があったので、昼食にしました。小蓮華(2,766m)に着いたのは13時10分。じっとしていると体が冷えてくるので、写真を撮ってすぐに出発です。この後も稜線歩き、相変わらずの強風雨。やっとの思いで雪倉・朝日との分岐である三国境(2,751m)に着きました。後は白馬岳までひたすら我慢の登りです。白馬岳頂上(2932.2m)にたどり着いたのは14時55分、蓮華温泉からは標高差1,457mでした。
後は白馬山荘までの下りです。コースタイム10分ということですが、長く感じました。白馬山荘も一応予約しておいたのですが、宿泊手続きは予約なしの人と一緒です。二人用個室がまだ空いているということでしたが、一部屋のチャージ料が8,500円ということで、相部屋(6畳程度の小部屋)にしました。しかし、悪天で登山者も少なかったためか、結局この小部屋は我々だけで使うことになりました。上から下までびしょ濡れになっていましたが、乾燥室はキャパ越えということで意味をなさず、とりあえず乾いた服に着替えました。靴だけは新調していたためもあり、まったく中が濡れなかったのが幸いでした。この小屋には昭和医大の診療所があり、そこに卒業生がいました。
夕食は肉か魚かを選べるシステムでした。肉(ハンバーグ)を選びました。
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23日の夕食です。 | 24日の朝食です。 | 雨の中を出発します。 | 「天狗の庭」というところです。 | 白馬大池です。 |
ライチョウ(雷鳥)です。 | 小蓮華(2,766m)を通過します。 | 三国境(2,751m)。 | 白馬岳頂上(2932.2m)を通過します。 | 白馬山荘の夕食です。 |
(2) 2日目(7月25日)
この日は雪倉岳を越えて朝日岳までです。朝早く出たかったので、自炊にしました。天気がよければご来光(4時47分)を頂上で見て、風のないところまで降りて朝食を摂ろうと思っていたのですが、この日は朝から強風雨です。外で食事を作るのは大変そうなので、小屋で朝食を作って食べました。
出発は5時10分。強風雨は収まりません。5時30分に頂上に着きましたが、展望が全くないのでそのまま三国境に向かって降り始めました。三国境あたりは高山植物がたくさんあります。でもこの日は強風雨です。かろうじてコマクサだけを撮りました。
登山道は雪倉岳の手前にそびえる鉢ヶ岳(2583m)を右(東側)を巻いています。この辺で少し晴れ間も出てきました。いくつかの雪渓をトラバースします。二つ雪渓を渡ったところで、5羽の雛をつれたライチョウ一家(父親不在)に遭遇しました。天気は一瞬期待させましたが、強風雨は続いています。たどり着いた雪倉岳の登り口にある避難小屋に入って少し休みます。風を受けないのでほっとします。
雪倉岳は大きな山です。やっとの思いでようやく頂上(2610.9m)に着いたのは、9時30分でした。強風雨にさらされ続け、かなり疲れました。さらに道は続きます。所々に水場があります。少し広そうな場所を選んで昼食にしました。このあたりの湿地には木道が敷かれています。まわりはミズバショウ、アズマギク、また小桜ヶ原の名の通りハクサンコザクラの群落です。とてもきれい。
雪渓にロープを渡しているところが、水平道との分岐です。まだ雪渓の状態が悪いということで、水平道は通行禁止になっていました。水平道といってもアップダウンが多く、32年前に通ったときは大変な思いをしました。水平動の分岐から、朝日岳までは苦しい急登が続きます。何回か休みを取って、必死で登ります。苦しい急登が終わって木道が続くようになれば、頂上は近い。明日のルート蓮華温泉への下山口を過ぎるとまもなく頂上です。朝日岳頂上(2418.3m)には14時50分に到着。だが、広い頂上はツアー客で“占拠”されていたので、早々に朝日小屋に向かって下山開始。
雪渓をいくつか降りてもなかなか小屋が見えてきません。最後に少し登りがあり、そこを登るとようやく間近に小屋が見えてきました。予約が遅かったということで、大部屋になりました。でも一人一畳は確保、さらに隣が空いていたので荷物置き場にできました。そして、まだ人が入っていない小部屋で全部の着替えもできました。
夕食の第一グループは16時45分とかなり早めです。食事は山小屋としてはかなり立派なものです。小屋の主人(女性)が食事の説明をしてくれたり、またその後は高山植物ビデオも見せてくれました。夕食の後、これまでの天気が嘘のように晴れてきました。そして短い時間ですが、白馬から雪倉、さらに遠くには剣岳が見えだしました。売店でビール(500mL800円)を買ってきて、ビールを飲みながらしばし展望を楽しみました。やがてまたガスが出てきたので、部屋に入り寝ることにしました。
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朝食(リフィル・きつねうどん)を作っています。 | 白馬岳頂上(2932.2m)を通過します。 | 三国境も通過です。 | コマクサです。レンズが曇っています。 | 鉢ヶ岳の稜線。登山道は右の雪渓をトラバースしています。 |
雪渓を渡るパーティ。 | ライチョウ(雷鳥)のお母さん。 | 雛の一羽です。 | 雪倉岳の頂上(2610.9m)。 | シナノキンバイやハクサンイチゲの群落です。 |
登山道は赤男山の西側を巻いています。 | キヌガサソウ。 | ミズバショウ。 | 雪渓の手前はハクサンコザクラの群落です。 | 水平道は封鎖されていました。 |
朝日岳の頂上(2418.3m)。 | 霧の中、ようやく朝日小屋が見えてきました。 | 豪華な夕食です。富山おでん、昆布締めのお刺身、ホタルイカの沖漬けなど。食前酒(赤ワイン)付き。 | 小屋から見る朝日岳。 | 左から雪倉岳、白馬岳、旭岳です。白馬岳の拡大はこちら。 |
(3) 3日目(7月26日)と4日目(7月27日)
この日は蓮華温泉に下ります。3時半にいきなり電気が点いたので、早速(遠慮なく)荷造りを始めます。この日になってようやく晴れました。でも、外で食事を作るのは面倒なので、小屋の自炊部屋で朝食を作ることにしました。お湯が沸く間、外に出てみたら日本海の灯(朝日町?)が見えました。
4時50分に小屋を出発します。朝日岳に登る途中から剣岳が見え始めました。朝日岳頂上(2418.3m)は6時、視界360°の大展望です。この展望のパノラマ動画はこちらです。名残は尽きないのですが、この日の行程も長いので6時10分ころ頂上を後にし、蓮華温泉をめざして下山開始。このあたりは高山植物の宝庫です。また、雪渓も多く残っていて、雪渓をトラバースしたり、降りたりします。
日本海に抜ける栂海(つがみ)新道の分岐(吹き上げのコル)は6時50分。少し休みます。この後も急降下は続きます。雪渓を降りたり、沢を横切ったりします。沢をそのまま下るところもありました。また、沢を下る道かと思って少しくだったら様子が変、戻ったら今度は少し上に道が続いていたりという所もありました。ただ以前より木道が増えて、とくにぬかるんだ湿地帯はかなり歩きやすくなっていました。それでも体力の低下は覆うべくもなく、疲れてきてゆっくりとしか歩けません。また昨日までの疲労凍死が頭に浮かぶような悪天からは一変、今度は熱中症の心配をしなくてはならないほどの日射・高温です。水をたくさん飲みながら、適宜休みを取って歩き続けます。
五輪の森で最後の雪渓を渡り、少し降りると五輪高原。高校生らしきパーティが休んでいました。花園三角点は9時35分に通過。さらにカモシカ坂を急降下します。途中の水場で少し休憩。白高地沢に降りたのは、11時15分ころでした。昼食のために大休止です。ちょうど石がテーブルといすになるように都合がよく配置され、さらに日陰にもなっている場所が空いたので、そこで昼食を作ります。パーティの一人は忙しい人なので、16時05分の糸魚川行きのバス(これに間に合うと21時半ころ東京に着く)に乗る前にお風呂に入ることができるよう、ここで先に行ってもらいます。
12時過ぎに白高地沢を出発。前回は白高地沢は仮設の橋でしたが、今回は立派な鉄の橋になっていました(2012年にできたらしい)。建設費は億円のオーダーらしいです。橋を渡ると急登です。つらい。尾根を巻き気味に乗り超えて、今回のコースの最低部(1,170m)である瀬戸川にかかる鉄の橋を通過したのが13時15分。ここから蓮華温泉(1,475m)まで約300mの登りです。急登であえぎながら登りました。
木道が出てきて傾斜も緩くなってくると兵馬ノ平(湿原)も近い。でも、兵馬ノ平から蓮華温泉まではまだ150m以上登らなくてはなりません。兵馬ノ平からさらに登るとアヤメ平です。息も絶え絶えに野鳥の森を登り切ると、ようやく蓮華温泉のテント場にでます。ここから林道、でもまだ登りは続きます。ロッジは見えているのですが、なかなかたどり着けません。傾斜の緩い林道もつらいほど疲れていました。15時45分ころようやくの思いでロッジにたどり着き、先行したメンバーとここで再会できました。彼は14時10分に着いたということでした。バス停(駐車場の端)で16時5分にバスに乗る彼にお別れをして、ロッジに戻りました。
24日にロッジを出発するとき、宿泊は3人になってしまうができれば個室にして欲しいと頼んでおいたときは、できるだけそうしたいという答えでしたが、幸いなことに前回と同じ広さの個室がとれました(ただしチャージ料は土曜日のためか4,000円)。残り二人のメンバーが野天風呂巡りをしている間、こちらは内湯に入り、部屋で生ビールを飲んでくつろいでいました。山から無事に下りることができて、ようやくほっとしました。しばらくするともう夕食(17時30分)です。夕食時にも生ビールを頼みました。この日は疲れていたので、野天風呂は明日にしました。
翌日(27日)は4時過ぎに起きて、ヘッドランプの必要がなくなる4時半ころから野天風呂巡りに出発。かつては七湯と称し、新黄金の湯、蒸湯もあったはずですが(32年前も入浴はできなかった)、いまは木に囲まれた黄金の湯(マグネシュウム炭酸水素塩泉)、一番高いところにある薬師の湯(酸性硫酸塩泉)、一番大きく見晴らしのいい仙気(せんき)の湯(単純酸性泉)、一人用(?)で一番温度の低い三国一の湯(酸性アルミニュウム硫酸塩泉)の4つ湯になっています。全湯を制覇(入浴)し、戻ってくるころには雨が降り出し、やがて本降りにななってきました。5時45分からの朝食を食べて、部屋でごろごろしていてもなかなか雨が止みません。雷も鳴っています。風も出てきてこの日もあまり天気が良さそうではありません。それでも、いくつかのパーティが出発していきました。
7時35分の平岩行きのバスが出る前、7時30分に蓮華温泉を出発して帰路につきました。帰りの国道375号、長野道、中央道いずれも順調でした。12時ころ中央道石川PAで食事しようと思って入ったのですが、かつてあったレストランはなくなり(その代わりファミリーマート?)、仕方ないのでフードコートで食事となりました。
その後も道路は順調、13時ころには自宅近くの駅で解散となりました。また、蓮華温泉を含む今回泊まった山小屋では携帯電話が通じるところはありませんでした。
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2014年7月記