秩父山系の一つです。標高は1,953mあります。でも、この山が有名なのは、なんといってもかつては(東京オリンピックがあった1964年ころまでは)東京都のメインの水源であった多摩川の、公式の水源であるからです。そのため、このあたり一帯の森林は、山梨県(と埼玉県)であるにもかかわらず、東京都水道局が管理しています。そもそも東京都の奥多摩地区は、都の水源確保のために神奈川県から購入したという歴史もあります。
6月2日の朝4時半ころ自宅を出発し、中央高速の八王子ICから奥多摩地方を経由して、林道(といっても舗装されている、昔は未舗装部分もある本格的な林道だった。青梅街道から別れた直後は断崖絶壁の道になる)を通って一ノ瀬高原の奥の「作場平」に着いたのが、午前7時ころ。車を置くスペースも整備され、立派なトイレもできていました。
そこからまず、ヤブ沢峠を目指します。この道はかつては水道局の森林管理用の道だったはずですが、いまでは登山道として立派に整備され、足場が悪いところは木道まで設置されていました。ヤブ沢峠からは車も通れるような林道(青梅街道の柳沢峠から通じている)になります。
笠取小屋を素通りして、「小さな分水嶺」のベンチで一休み。ここはほんとうに小さなピークなのですが、多摩川、荒川、そして富士川の三つの川の分水嶺だそうです(地学の言葉では“トリプル・ジャンクション”?)。眺望が大変にいいところです。ちょっとのんびり。目の前には笠取山がそびえ、頂上への直登の道が続いています。その急登を考えるとひるむところです。
頂上には、9時ころにつきました。頂上を独り占め。シャクナゲの花が咲いていました。この日はよく晴れていたので、眺望を楽しむことができました。すこしたつと、そろそろ他の登山者の声も聞こえ始めたので下山開始。急降下で大変でした。
ピークを下った後、多摩川の水源の水干(みずひ)に回ります。ここは昔は小さな祠があったはずです。でもそれはいまはなく、そのかわり立派なベンチ・テーブル・解説版がありました。また、昔の公式の「水源」は、ここからすこし沢をよじ登ったところだったのですが、いまはきれいに整備された道の脇が「水源」になっていました。でも、水は浸み出ていなかった。このあたりの森林は、水源林ということで、1920年代以降に人為的に整備されてきたそうです。それまでは焼き畑や山火事のためほとんど木がない状態だったそうです。80年経ったいまは立派な森林になっていました。惜しむらくは針葉樹だけでなく、広葉樹も植林して欲しかったということです。
9時45分ころ「小さな分水嶺」に戻り、ベンチで朝食というか昼食というか、途中のコンビニで購入したおにぎりを食べました。この時間帯になると、登山者も増えてきます。
帰りは笠取小屋の所から、直接作場平を目指して下ります。この辺の沢にはプラナリアが生息しているらしいのですが、見つかりませんでした。
「作場平」に戻ったのは11時40分くらい、5時間弱の行程でした。
2002年7月記
経済産業省産業技術総合研究所地質調査総合センターに、笠取山の解説記事がありました。2009年11月6日の笠取山はこちら。
2002年8月追記、2003年8月解説記事へのリンクを更新
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