2005年8月31日、長野県の王滝村にある「おんたけ銀河村キャンプ場」キャンプ場を起点に、自然学習路を散策してきました。登山ではない、軽いハイキングです。印刷用の案内図はこちらをクリック(約9MBのpdfファイル)。森の木々や花ばかりではなく、御嶽山登山の古道を利用しているところもあり、なかなか趣のある道です。激しいアップダウンもなく、家族連れなどにも適していると思います。また新滝は、日本では数少ない滝の裏側に入り込むことができる裏見の滝です。
キャンプ場の駐車場からは2カ所、体験の森(下に出てくる保育の森などを含む全体をいうらしい)や清滝・新滝への降り口があります。まず御嶽山側の道から、下のスキー場目がけております。ここにはキャンプ場からの直接降りてくる道も合流します。ここからはスキー場のリフト乗り場や民宿の裏側の原っぱを登っていきます。この辺は少し道が荒れていますが(道に草が生え始めている)、問題はないでしょう。原っぱにはマツムシソウが咲いています。チョウもいます。
原っぱを通り抜けると森の中の道になります。このあたりは保育の森というそうです。間伐についての説明版があります。途中、分岐がたくさん出てきますが、「十二権現・清滝・新滝」方面をめざします。十二権現へ下る分岐を通りすぎ、道が大きく左に曲がるところに四阿があるので少し休んでもいいでしょう。このあたりを野鳥の森というようです。
少し降り、小さな沢を渡ると開けたところに出ます。高原さかえ莊から入り込んできた林道などが交差します。このあたりは御嶽信仰登山路だったらしく、たくさんの石碑があり、またお地蔵さんもあります。十二権現へという道も分岐します。キャンプ場を出発して30分〜40分くらいでここまでこられると思います。
林道を右にとると花戸(はな戸)という社に出ます。かつての御嶽信仰登山の一つのポイントだったようです。林道はここで終わり、また山道になります。かなり下って沢を何回か渡るようになりますが、立派な橋があるので大丈夫です。最後の橋の直前に大又への分岐がありますが、そのまま清滝をめざします。
はな戸から清滝までは15分くらいでしょう。清滝には滝に打たれる修験者が白装束に着替えるための小屋があります。私が行ったたときには修験者はいませんでした。薄く横に広がって落ちてくる滝です。この滝は車道の近くにあり、バス停・駐車場あたりからも見ることができます。
滝の前の赤い橋を渡って新滝をめざします。危ないところには鎖・ロープがはってありますが、一部木の梯子が腐っていたり、湿って滑りやすい岩の急坂もあるので、山なれない人や子ども連れの人は清滝から一度車道に降り、そこから車道沿いに新滝入り口まで歩いて新滝をめざした方がいいかもしれません。
急坂を登り切ると分岐があり、直接新滝をめざす道と新滝上への道に分かれます。私は本当に滝上に出るのかと思い、新滝上への道をとりました。薪置き場(私物)が2カ所あり、その付近から滝に降りる道が分かれています。滝の上に出ることはできませんでした。清滝から新滝までは15分くらいでしょう。新滝は車道からは10分程度の所になります。
新滝にも修験者用の着替え小屋があります。この滝がおもしろいのは、滝の後ろ側に入り込むことができることです。つまり、滝を裏からすかしてみることができます。しばらく楽しんだ後、また新滝上に戻ります。ここはもう車道のごく近くです。このまま車道に抜けることもできますが、その直前にはな戸への道が別れているのでそちらをとります。木の階段を下ります。途中車道とかなり接近しますが、なかなか合流はしません。車道に出たところに高原さかえ莊があります。道の反対側を少し登ったところに十二大権現があります。さかえ莊側はバス停・駐車所、それにきれいなトイレもあります。新滝からここまでは20分くらいです。
さかえ莊の脇の林道がはな戸に続いています。来たときの道と合流するところ(たくさんの石碑やお地蔵さんがあるところ、自然学習路の案内板もある)から、古道に入り再び十二権現をめざします。わりと簡単の車道に出ます。出たところはさかえ莊前の同じ駐車場の上の方(トイレ側)でした道がぐるっと回っていたのでした。十二大権現を登って見学してから車道に戻り、少し車道を歩きます。このあたりの森は復旧の森というそうです。1984年の長野県西部地震で、このあたりの森も被災したそうです。
少し歩くと、自然学習路への案内板があるので、その道に入ります。最初はアスファルト舗装がしてある道です。入ったところを郷土の森というそうです。登り切ると、銀河村キャンプ場からの道と合流します。そのままキャンプ場に戻ってもいいのですが、その少し先にある分岐から再び車道に降りてみました。分岐の案内板にはまっすぐだと体験の森、右にとると銀河村キャンプ場となっています。実際はどちらでもキャンプ場に行けます。
分岐から少し行くと道はアスファルト路になって、やがて車道に出ます。ここを左にとるともうスキー場です。道を渡ってまた山道に入ります。少し降りるとまた分岐があって、銀河村キャンプ場をめざす道と、せせらぎの小径にわかれます。
せせらぎの小径を行くと、砂防ダム下のせせらぎにはいることができます。子ども連れなら水遊びができます。そこから少し登ると、また車道に出ます。車道を少しスキー場側に行くと、道の反対側に森の中に入る道があります。案内板には自然学習路とか↑体験の森とか出ています。ここを登るとキャンプ場からの道に出ます。
せせらぎの小径をとらずまっすぐ行くと、砂防堰堤の上に付けられた道で沢を渡り少し開けたところに出ます。ここには四阿があるので休憩することもできます。こちらもしばらく行くと車道に出て、道を渡ったところから銀河村に通じる道があります。この道を登るとキャンプ場の駐車場に出ます。最初に降りた所よりは管理棟側になります。
キャンプ場から清滝・新滝を単純に往復すれば2時間半程度、私のようにいろいろと歩き回っても4時間もかかりません。森の中の静かな道で、その割にはいろいろと楽しめるコースです。歩くことに自信のない方は、銀河村キャンプ場までバス(車)を利用して、清滝・新滝まで歩き、新滝からバスに乗ってキャンプ場に戻るという手もあります。これならほとんど下りだけです。ただし、バスは夏季以外は土日しか運行されていないし、本数も少ないので事前に調べておくことが必要です。ちなみに2005年の新滝のバス停の時刻表はこちら。
なお、王滝村が印象深いのはなんといっても、1984年の長野県西部地震(M6.8)で大きな被害を受けたことです。いまなお、村の中心部近くには当時の崖崩れのあとが見られます。私は地震の2年後くらいに行ったことがありますが、まだ道路は鉄板を敷いた仮設道路で、崖崩れの後も生々しかったことを覚えています。今は崖崩れの後は芝生でおおわれていますが、当時を彷彿とさせる地形は残っています。また村中心部から滝越地区に行く途中には、濁川温泉を消滅させてしまった土石流によってできた「自然湖」(いまはカヌー教室がある)もあります。
王滝村や王滝村の観光総合事務所はそれぞれのホームページを参照。おんたけ交通はこちら。長野県西部地震による村中心部近くの崩壊と復旧の様子はこちら。
王滝村の地学面においての興味は活火山御嶽山はもちろん、日本では数少ないクレーター(隕石孔)と思われる円形の窪地、シンガハタの池があることです。
下の写真は銀河村の様子です。写真はクリックすると拡大します。戻るときはブラウザの“戻る”ボタンをお使いください。
銀河村で星がこのようによく見えます。オリオン座付近、シリウスも見えます。コンパクト・デジカメ(35mmカメラで35mm相当、F1.8、露出16秒)で撮影。9月3日午前4時ころ。 | 左の写真を画像処理ソフトで増感してみました。4年ほど前の300万画素のデジカメですが、レンズが明るいのが取り柄です。 | 東の空は見事な朝焼けになりました。9月3日午前5時10分ころ。 | 朝日を浴びた御嶽山のモルゲンロート。9月3日午前40分ころ。 | キャンプ場の全景です。バンガローや常設テントがあります。他にキャビンもあり、もちろんテント持ち込みも可能です。 |
下の写真は自然学習路の様子です。写真はクリックすると拡大します。戻るときはブラウザの“戻る”ボタンをお使いください。
キャンプ場の駐車場からは御嶽山が正面に見えます。この道標が降り口です。 | 森の中の気持ちのいい道。 | 信仰登山路だったことを示すはな戸近くの石碑群。 | はな戸です。 | このような橋を4回ほど渡ります。 |
清滝です。赤い橋を渡って新滝をめざします。 | 新滝です。滝の裏側に回り込むことができます。 | 滝の裏側に回り込んでみました。 | 郷土の森とクリの古木。 | 砂防堰堤上の道。 |
2005年9月記