現在の地球の人口は約65億人、しかもまだどんどん増え続けている。問題は、こうした人口を、この有限な地球が養っていけるかである。
(2) 日本の人口問題
鎖国、つまり自給自足していた江戸時代末期の人口は約3100万〜3300万人であったといわれる。明治になって日本は人口爆発を起こした(図1-8、図1-11参照)。しかし、第二次世界大戦後から出生率は急激に下がり始めている。なぜ、戦後、このように急速に出生率が下がったのかは、よく解明できていないと思う。豊かになり、教育水準も上がったためという答えが一般的なのだろうが。
現在、女性が産む子供の数は極端に減っている。それは、一つは未婚の人が増えたこと(図1-12)、結婚するにしてもかなり高齢になってからだといわれている。これまた、なぜこうなったのかについても、明確な解答はないと思う。しかし、結果として人口を維持できるという期間合計特殊出生率2.08を、1974年の2.05以来長年の間下回り続け、2005年の実績値は1.26%で、2007年では少し上昇しているとはいっても1.34%(2009年度版少子化白書)である。このように、人口減少の傾向は続いている。
※ 期間合計特殊出生率:ある期間(通常は1年間)の各年代(15〜49歳)の女性の出生率を合計したもの。これに対し、コーホート合計特殊出生率というものもある。これはある世代の出生状況に着目したもので、同一年生まれ(コーホート)の女性の出生率を過去(若いとき)から積み上げたものである。合計特殊出生率はその年の特殊事情に左右されるし(例えば1966年の“丙午(ひのえうま)”による出産控え)、コーホート合計特殊出生率はその年齢が50歳にならないと確定しないという問題がある。通常は期間合計特殊出生率が用いられる。
国立社会保障・人口問題研究所の「平成24年1月推計」(http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/gh2401.pdf)によると、日本の人口は2010年には約1億2806万人であったのが、2048年には1億人を割り、2060「年には約8674万人(中位推計)にまで減少するといわれている。
そのために、欧米も経験しなかったような急速な老齢化が問題になっている。つまり、人口の割に労働人口が少なくなってしまうということである。65歳以上の人口比率が7%から14%に倍増するのに要した期間が、フランス115年、スウェーデン85年、イギリス45年であるのに対し、日本は26年と見込まれている。上記「平成18年12月推計(日本の将来推計人口)」の中位推計では、0〜14歳、15歳〜64歳、65歳以上の年齢3区分の人口比が、2005年には13.8%、66.1%、20.2%であったものが、2055年には8.4%、51.1%、40.5%という極端な少子・老齢社会になると予想している。なお、少子化についてはこちらを参照。
図1-4 日本の人口・人口増加率の推移(総務省統計局) http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0302.htm |
図1-4-1 日本の総人口の推移(社会保障・人口問題研究所) http://www.ipss.go.jp/syoushika/ tohkei/newest04/gh2401.pdf |
図1-5 日本の人口構造の推移と見通し(少子化社会対策白書平成25年版) http://www8.cao.go.jp/shoushi/ whitepaper/w-2013/25pdfhonpen/pdf/s1-1.pdf |
図1-6 日本の人口ピラミッド(国勢調査eガイド)、1920年〜2050年はこちら。 http://www.stat.go.jp/data/ kokusei/2010/kouhou/useful/u01_z19.htm |
図1-7 出生数・出生率の変化(少子化社会対策白書平成25年版) http://www8.cao.go.jp/shoushi/ whitepaper/w-2013/25pdfhonpen/pdf/s1-1.pdf |
図1-8 有史以降の日本の人口の推移(少子化白書平成16年版) http://www8.cao.go.jp/shoushi/ whitepaper/index-w.html |
図1-11 中世以降の日本の人口の推移(少子化白書平成17年版) http://www8.cao.go.jp/shoushi/ whitepaper/index-w.html |
図1-12 生涯未婚率の年次推移(少子化社会対策白書平成24年版) http://www8.cao.go.jp/shoushi/ whitepaper/w-2012/24webhonpen/index.html |
(図はクリックすると拡大します。)
少子化の問題については内閣府少子化社会対策白書(http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/index-w.html)参照。こちらでは、少子化問題に対する政府の分析結果を見ることができる。
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