環境危機をあおってはいけない ビョルン・ロンボルグ 山形浩生訳 文藝春秋
ISBN4-16-365080-6 4,500円 2003年3月(初版)2007年9月7刷
目次
はじめに
用語と単位
第I部 環境危機の「よく聞くお話」は本当か?
第1章 世の中、よくなってきているのだ
第2章 なぜ悪いニュースばかり流されるのか?
第II部 人類の福祉はどういう状態か
第3章 人類の福祉を計る
第4章 期待寿命と健康
第5章 食料と飢え
第6章 かつてない繁栄
第7章 第II部の結論:かつてない人類の繁栄
第III部 人類の繁栄は維持できるのか?
第8章 僕たちは未来を食いつぶして現在の繁栄を維持しているのか?
第9章 食べ物は足りているのか
第10章 森林はなくなりかけているのか
第11章 エネルギーは枯渇するか?
第12章 エネルギー以外の資源
第13章 水は十分にある
第14章 第III部の結論:繁栄は続く
第IV部 公害は人間の繁栄をダメにするか?
第15章 大気汚染
第16章 酸性雨で森は死んでいるか
第17章 屋内の空気汚染の方が深刻
第18章 アレルギーとぜん息
第19章 水質汚染
第20章 廃棄物の捨て場はないのか?
第21章 第IV部の結論:公害の負担は減りつつある(←“大IV部”とミスプリ)
第V部 明日の問題
第22章 化学物質がこわい
第23章 生物多様性の問題
第24章 地球温暖化
第VI部 世界の本当の状態
第25章 窮地なのか、進歩なのか?
謝辞
許諾
日本語版へのあとがき
訳者あとがき
注
編集部注:参考文献、索引は文藝春秋ホームページ http://www.bunshun.co.jp/se/
700ページ近い膨大な本。いわれているほど環境は危機なのが、昔と比べればよくなってきているではないか、どこにコストをかけた方が合理的なのかなどをきちんと冷静に判断する必要があると主張している。私もコストは限られているのだから、膨大なコストをかけてCO2の削減に挑むより、そのコストを発展途上国への直接的援助(貧困、教育、医療、食料、人口問題など)に回した方が手っ取り早いと思う。
予防原則は大事なことだと思うが、きちんとリスクが評価されたならばそれをきちんと考慮に入れるべきだと思う。いわゆる“環境ホルモン”などその典型的な例ではないか。こんなことを繰り返していれば、オオカミ少年になってしまう。
石油価格がこのように高騰してくれば(筆者の予想外?)、走行する車も減って、いま都内の道はかなりすいているらしい。自然と脱石油社会が来る?
ただ、筆者が主張するコスト論だけでは解決できない問題もあるのではないか。つまりコストを明確にできない、割り切れないこともあると思う。さらにコストといえば、軍事超大国が軍事にかけているコストほどばかばかしいものはないともいえる。
細かいことだが、“笑気ガス”は“一酸化二窒素”(N2O)と訳した方がいいと思う。“炭酸ガス”ではなく“二酸化炭素”とするのと同じように。
地球と一緒に頭も冷やせ! ビョルン・ロンボルグ
2008年7月記