ジャガイモのきた道 山本紀夫 岩波新書新赤1134
ISBN978-4-00-431134-8 740円 2008年5月
目次
はじめに
第1章 ジャガイモの誕生 野生種から栽培種へ
第2章 山岳文明を産んだジャガイモ インカ帝国の農耕文化
第3章 「悪魔の植物」、ヨーロッパへ 飢饉と戦争
第4章 ヒマラヤの「ジャガイモ革命」 雲の上の畑で
第5章 日本人とジャガイモ 北国の保存技術
第6章 伝統と近代化のはざまで インカの末裔たちとジャガイモ
終章 偏見をのりこえて ジャガイモと人類の未来
あとがき
参考文献
筆者はもともとは植物学が専門だったのだが、アンデスを現地調査をしているうちに、ジャガイモとアンデスに住む人たちの関係を研究したくなり、民俗学に転向したという。だから、植物学に根拠を於いて、ジャガイモの歴史学・社会学を見るということになる。結果として、穀物の栽培だけが文明を産んだのではなく、ジャガイモの栽培も文明を産んだ(インカもトウモロコシではなくジャガイモの根底にある)という結論にいたる。
光合成の効率の高いジャガイモは、確かに人類の未来に光を差し込むものであるかもしれない。だが、単一種の栽培はかつてのアイルランドの飢饉も教訓化しておかなくてはならないだろう。
ジャガイモの世界史 伊藤章治 中公新書
2008年6月記