北のはてのイービク

北のはてのイービク ピーパルク・フロイゲン 野村滋訳 岩波少年文庫
ISBN978-4-00-114152-8 640円

目次
セイウチ狩り
悲しみの日々
飢え
白クマ
そりだ! そりだ!
食べ物と暖かさ
うちへ帰る
訳者あとがき
さし絵 イングリット・ヴァン・ニイマン

 夏の間孤島で狩りをしていたイービク一家。セイウチに逆襲されて殺された父、カヤックも流されてしまい、残された家族はたちまち飢えに苦しむことになる。祖父・母、幼い弟・妹たちを助けるためイービクは、やっと氷で閉ざされた海を渡り助けを求めに出かける。途中で出会った白クマに夢中でヤリで刺す。だが、とどめを刺すことができない。高台に逃げたが寒さのために意識も遠のいていく。偶然、別の白クマを追っていたエスキモーたちに発見され、一人で白クマを倒したことを絶賛される。誇らしげに家族の元に戻るイービク。伝説の狩人が誕生する。

 男の子の生長譚。過酷な自然の中で生き、家族を守り、狩りに優れたなかまを尊重・尊敬するエスキモーたちの生活。さし絵でもエスキモーたちの生活が解説されている。

 こうしたエスキモーたちの生活はまだ本多勝一たちのカナダエスキモーのルポ(1963年)当時はまだ残っていたようだが、こうした生活もかこのものになりつつあるようだ。

 なお、この本ではイヌイットという名称ではなく、エスキモーが使われていて、その理由は解説にある。

イヌイット「極北の狩猟民」のいま 岸上伸啓 中公新書

2008年6月記

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