イヌイット「極北の狩猟民」のいま 岸上伸啓 中公新書1822
ISBN4-12-101822-2 740円 2005年11月
目次
はじめに
第1章 自然環境と歴史
1 極北の人々と自然
2 イヌイット文化の歴史と現状
3 ケベック州アクリヴィク村
第2章 極北に生きる
1 村とキャンプ
2 二つの経済 狩猟・漁撈活動を賃金労働
3 人の一生からみた人間関係
4 世界観とキリスト教
5 イヌイット流の教育と学校教育
6 病んだ社会
第3章 都市イヌイット
1 村を出るイヌイット
2 都市イヌイットの生活
3 アイデンティティの多様化と社会問題
4 モントリオール・イヌイット協会の創設と活動
第4章 深刻な環境問題
1 極北地域の大自然が危ない
2 食糧資源問題
3 環境問題への国際協力
あとがき
文献紹介
旅行者へのアドバイス
本多勝一のデビュー作「カナダ・エスキモー」は新聞に掲載されていたのをリアルタイムで読んだ世代である。本多勝一が滞在したのは1963年5月〜6月らしい。すでに40年以上前のことになった。もう当時ですら、「文明」が押し寄せてきて、伝統的な文化は崩壊しつつあるような印象だった。そのわりにはまだ、かろうじてかもしれないが、狩猟・漁撈の伝統は守られているようだ。もっとも、獲物を獲っても、皮をなめす技術は失われつつあるようだ。
もちろん、直接的な「文明」だけではなく、彼らが依拠してきた自然すらも彼らを圧迫しつつあるという状況に変わりはない。
2005年12月記