感染症とたたかう 岡田晴恵・田代眞人 岩波新書眞赤870
ISBN4-0043-0870-4 2004年3月 740円
目次
序 新型インフルエンザとSARSの衝撃
1 インフルエンザは「かぜ」と違う
2 新型インフルエンザの脅威
3 インフルエンザワクチン
4 SARSの流行と対応 新たな感染症に挑む国際社会
5 成人麻疹
6 風疹と先天性風疹症候群
あとがき
まず筆者は「かぜとインフルエンザは違う」と強調する。その被害は感染した個人にとどまらず、社会・経済に対して大きな影響を与えるということをくり返して述べている。
インフルエンザ・ウィルスは鳥にプールされていて、簡単に変異株をつくる。ワクチンは確かに有効であるが(ここでも“かぜ”との違いが強調される)、その年にどの株が流行するかの予想が必要であること、そしてその予想も最近は大はずれがなくなっていることを述べる。
SARSは発生源だった中国が最初隠蔽策を取っていたので初動がおくれた。しかし、その後の国際的な協力でかなり被害を食い止めることができた(日本で感染者が出なかったのは奇跡的)。SARSについては、どうも一人のスーパースプレッダー(強力な感染力を持った人)が泊まった香港のホテルから、全世界に広まったらしいという。また、中国に大量に留学生を送っていた愛知大学の機敏な対応が成功例として紹介されている。
ほかに成人麻疹、風疹の被害についても解説されている。
全体に、ワクチン接種の重要性を強く訴えている。たしかに、副作用のリスクとの兼ね合いだろうと思われる。
著者の一人岡田晴恵氏の「人類vs感染症」も参照。
2004年12月記