エンデュアランス号漂流記 アーネスト・シャクルトン 木村義昌・谷口善也訳 中公文庫
ISBN4-42-204225-9 781円 2003年6月
目次
ウェッデル海のなかへ
エンデュアランス号を失う
氷からの脱出
ジェームス・ケアード号の航海
南ジョージア島を横断して
救出作戦
エレファント島の生活
訳者あとがき
文庫版へのあとがき
南極大陸を横断しようとするシャクルトンを隊長とする探検隊。しかし上陸する寸前にウェッデル海で氷に閉じこめられてしまったデエンデュアランス号。その乗組員たちの脱出記。
フラム号のように耐圧設計になっていなかったエンデュアランス号は氷圧で壊れる。その寸前に船を降りた乗組員たちは、浮氷の上をたどり、最後は氷の中の水路を必死で運んできたボートを使って、やっとの思いでエレファント島に上陸する。
隊長シャクルトンはここで隊員5名を選抜し、小さなボートで大洋に乗り出し、捕鯨基地のある南ジョージア島を目指す。うまく着いたが、捕鯨基地の反対側の海岸だったので、体力の落ちていた3人を残し、残り3人がこれまた苦労して氷と雪に山を乗り越えて、捕鯨基地に救助を依頼する。こうして、エレファント島に残された他の乗組員も救われた。
氷に閉じこめられたのは1915年1月18日、エレファント島上陸が1916年4月15日、エレファント島を出たのが4月24日、南ジョージア島に着いたのは5月18日、20時間かけて島を横断する。島の反対側に残った3人は間もなく救助され、エレファント島の残り22人は8月30日に全員無事に救助された。食糧(や燃料)はアザラシやペンギンだった。
隊長シャクルトンの統率力はすごいし、エレファント島の残された人たちを統括したワイルドもすごい。
ただし、南極横断ロス海支援隊の方は、10名中3名が犠牲になっている(この本には出ていない)。
2003年8月記