極北 フラム号北極漂流記 フリッチョフ・ナンセン 加納一郎訳 中公文庫
ISBN4-12-203995-9 686円 2002年3月
目次
極地探検の歴史
フラム号の探検計画
北氷洋へ
未知の海域
第一の冬
初・夏・秋
第二の冬
氷圧
ソリの旅へ
三度目の出発
苦難の行進
最北緯度
氷脈また氷脈
漂流
アザラシうち
クマと陸地
上陸
冬営準備
二人だけの越冬
極海に泳ぐ
ジャクソン探検隊
船を待つ日
漂流のフラム号(オットー・スペルドラップの手記)
氷からの解放(オットー・スペルドラップの手記)
ノルウェーの土
解説(和泉雅子)
フラム号の北極漂流記。他の船と違い意識的に漂流した。フラム号は氷に閉じこめられても、氷圧で上に押し上げられる構造になっている。隊長ナンセンはグリーンランドに流れ着く漂着物から北極海を横断する海流の存在を確信し、その海流に乗ろうとしたのだ。
1893年7月にノルウェーを出航。9月にはシベリアの東付近から漂流開始。船で二度越冬した後、1895年2月にナンセン自身は途中で船を離れ(フラム号を信頼できるハンセンに託し)、ヨハンセンとともに徒歩でさらに北を目指す。しかし、北緯86°13.6′で行く手を氷丘に遮られ(4月)、さらなる北上を断念する。南を目指すが苦悩の行進となる。食糧は手持ち以外には、イヌぞりを引いていたイヌ、さらにはシロクマ。このシロクマが最高の食糧となる。もっとも、クマのエサになりそうなときもある。だから、現在だったシロクマを恐れるだろうが、当時の探検者たちはシロクマをもっぱら食糧としてとらえていたようだ。
氷がとぎれカヤクに移る。ようや8月に陸地(フランツ・ヨセフ・ランド)にたどり着き、そこで越冬する。1896年5月に再出発。6月に奇跡的にイギリス探検隊のジャクソン隊長と遭遇する。8月7日迎えの船でノルウェーに向け出航する。
一方フラム号は予定通り漂流し越冬、翌年8月に開氷域に出て航行再開。その8月19日にノルウェーに戻る。
ナンセンはそれよりほんの一足早く、8月12日にノルウェーに戻っていた。8月21日フラム号と再会する。
2年前にノルウェーに行ったとき、フラム号がそっくり保存されいてる博物館に行った。ナンセンの探検はこれで終わりだが、フラム号はその後も極地探検に使用された。ノルウェー旅行記、フラム号博物館参照。
2003年8月記