中学・高校の教員の大きな仕事の一つは成績評価・管理です。これには二つあって、一つは教科担当としての仕事、もう一つはクラス担任としての仕事です。
私が上の仕事用に、学校で使っているExcelのファイルを公開します。成績の評価の仕方は、私の勤務校の内規に基づいているので、実際に使うときは、皆さんの学校の内規に合わせて変更してください。また、Excelの操作方法はWindows版だけです(Macの方は知らないので(^^ゞ)
もちろん、これが絶対的な方法ではありません。各学校、各自の都合に合わせて変更してください。また、間違いや、もっと簡単・便利な方法があるということをご指摘頂くと大変にありがたいです。
目次
【1】 | 教科担当編 | ||
1. | モデル・ファイル | ||
2. | 平均 | ||
(1) | 平均 | ||
(2) | 切り上げ | ||
(3) | 小数部の表示と内部表現 | ||
※ 表示桁数 | |||
(4) | 表示と非表示 | ||
(5) | 数式のコピー | ||
3. | 得点分布表 | ||
(1) | frequency関数(度数分布) | ||
※1 度数分布をcountifで | |||
※2 連続データ | |||
※3 絶対参照と相対参照 | |||
4. | 5段階評価への換算 | ||
(1) | 換算表(セルの範囲に名前) | ||
(2) | vlookup関数 | ||
※ 5段階評価を多重ifで | |||
(3) | 数式のコピー(-2-) | ||
5. | 見栄えと使い勝手 | ||
(1) | 条件付き書式 | ||
(2) | 枠の固定 | ||
(3) | 各ページに表題 | ||
(4) | 改ページ | ||
(5) | 印刷範囲 | ||
(6) | セルの書式 | ||
(7) | 平均点、最高点、最低点 | ||
(8) | シートの使い分け | ||
(9) | フィルター | ||
【2】 | クラス担任編 | ||
1. | クラス担任用ファイル | ||
2. | 成績 | ||
(1) | 合計 | ||
(2) | 順位 | ||
(3) | 赤点数と白点数 | ||
(4) | 備考 | ||
(5) | 得点分布表 | ||
(6) | 印刷 | ||
(7) | 芸術 | ||
3. | 欠課時数 | ||
4. | 出欠統計 | ||
5. | 5段階評価 | ||
6. | 仕事分担 | ||
7. | その他 | ||
(1) | 行の挿入・削除 | ||
(2) | 列の挿入・削除 | ||
(3) | 列の非表示 | ||
(4) | 形式を指定してコピー | ||
(5) | シートのコピー | ||
(6) | 罫線 |
1. モデル・ファイル
まず、下のモデル・ファイルをダウンロードしてください。その方法がわからない方はここをクリック。このファイルをもとに説明します。モデル・ファイルは1クラス45名(以内)、1学年7クラス(以内)を想定しています。それ以上の場合は、各自で変更してください。なお、8組のデータ(318行〜322行)はフィルターの効果を見るためだけのものです。
kyouka_12.xls (非圧縮、約131KB、2003年2月9日小改訂、同年7月12日小改訂)
kyouka_12.exe (Lha形式で圧縮、自己解凍形式、約57KB、Windowsのみ)
とりあえず使いたい方は、ここをクリック。
なお、「教科成績シート」で色を付けた各列(H列(1学期)、K列(2学期)、M列(学年)、N列(5段階評価)、R列(学年欠課))には、数式を埋め込んでありますので、気をつけてください。
※ モデル・ファイル修正(2003年2月9日)
授業時数がクラスによって異なることに対応しました。クラスごとの授業時数を入力すると、それに対する欠課時数の多い生徒をチェック(太文字・赤・二重下線表示)します。なお、授業時数の印刷は、学期ごとの得点分布表の方で行っています。これに伴い、モデルファイルをkyouka_11.xls
にミニ・バージンアップしました。
※ モデル・ファイル修正(2003年7月12日)
得点分布表の標題は、1学期の中間c1にを入力すれば、他の試験はそれをコピーするようにした。これに伴い、モデル・ファイルをkyouka_12.xlsにミニ・バージョンアップした。
※ 生徒の名前のコピー(2003年5月24日)
教務などから、生徒の名前のExcelファイルが入手できる場合、それをこのモデル・ファイルにコピーする方法は、【2】クラス担任編の5.その他の(4)形式を指定してコピーを参照。
2. 平均
私の学校では、1・2学期の成績は、中間と期末試験の平均点(切り上げ)、学年成績は1・2.・.3学期の成績の平均点(切り上げ)です。ですから、まず平均点を求める必要があります。
(1) 平均
a. average関数
「教科成績シート」のセルF3とG3に85と70が入っていて、セルH3に =average(F3,G3) と入力すれば、平均
77.5が得られます。
b. 単純平均
同じデータで、セルH3に =(F3+G3)/2 と入力しても、平均 77.5が得られます。
c. a.とb.の違い
ヌル値(空白)の扱いが違います。試しに F3の値をデリートしてみてください。average関数ではそこを無視して平均が 85
になります。一方、単純平均ではそこをゼロとみなして平均が
42.5 になります。ですから、目的に応じて、a.とb.を使い分けるといいかと思います。まぁ、ふつうはヌル値を無視する
average関数の方がいいかと思います…。
私は各学期の成績は、中間・期末の片方を受けて片方受けていない場合は、単なる欠席(さぼり)と見なして単純平均です。もちろん、事情がある生徒は担任から連絡があるので、それなりの対応をします。私の学校では“見込み点”という制度があり、ある試験を病気などで欠席した場合は、内規に基づいて“見込み点”を出します。ですから、実際には欠席しても(正当な理由があれば)セルには得点が入ります。
学年成績は、留学などを考慮してaverage関数を使っています。たとえば、2学期から復帰した生徒などを想定しているわけです。こうしておけば、空白の1学期を無視して、2学期・3学期の平均が学年成績になります。
実際には、事情のある生徒は、さらに表のその欄を適当に変更して使ったりします。
(2) 切り上げ
私の学校では、割り切れないときは四捨五入ではなく、少数部分を切り上げます。Excelだけではなく、ふつうの表計算ソフトには切り上げ関数
roundup があると思います。上の例では、セルF1を修正して、
=roundup(average(F3,G3),0) とします。( )の対応に注意。最後の 0
は、小数点1位で切り上げて、少数部分を 0 に、つまり整数にするということです。
単純な四捨五入ならround関数、切り捨てならint関数があります。
(3) 小数部の表示と内部表現
書式→セル→表示形式→数値→小数点以下の桁数では見かけ上の四捨五入ができます。ただし内部では小数点以下の数値も保持されています。ですから、学期の成績として、中間と期末の平均を出したときは(2回の平均なので、四捨五入と切り上げは同じ結果になる)、かならずroundup関数で、実際に切り上げをやっておく必要があります。
例えば、1学期の中間から学年末までの5回の点数が、50、51、60、61、69とすると、学期ごとに切り上げをしていないと学年成績は 60
、学期ごとにきちんと切り上げておけば学年成績は 61
になります。5段階評価の分かれ目の点だと厳しいですね。
※ 表示桁数:クラス平均みたいなものは、単純に表示だけ小数点以下1桁(あるいは2桁)にしておけばよいと思います。こうしておけば、平均点が整数になっても、例えば67.0のように表示されるので見栄えもいいし。実際に、「教科成績シート」の323行、「得点分布表シート」の16行などの平均点を表示するところではそうしている。表示桁数は、<書式>→<セル>→<表示形式タグ>→で「数値」を選んで、小数点以下の桁数を指定します。
(4) 表示と非表示
モデル・ファイルでは、データが入力されていないと、計算式を埋め込んでいる列を“非表示”にしています。例えば、H列(1学期の成績)には、<=IF(OR(F3<>"",G3<>""),ROUNDUP((F3+G3)/2,0),"")>という式にしています。式の意味は、F3とG3のどちらかが(“OR”)空白(“""”)でなかったら、ROUNDUP((F3+G3)/2,0)を実行・表示して、そうでなかったら(F3とG3が空白だったら)空白のままにしておけ、ということです。M列(学年成績)は<=IF(AND(H3="",K3="",L3=""),"",ROUNDUP(AVERAGE(H3,K3,L3),0))>という式です。しかし、こうしたことは“見栄え“の問題ですので、まったく個人的に使うときには、かえってこうしたことをしない方がいいかもしれません。
ただ、選択科目ではこのようにしておけば、全員に対して同じ式を使うことができ、かつ非選択者の成績は表示されないので、都合がいいかと思います。選択科目の扱いは、フィルターも参照。
(5) 数式のコピー
一つのセルで動作を確かめたら、その式をコピーします。例えばH3(1学期の成績)の数式がうまく動いたら、これをコピーします。方法は、H3をアクティブ(マウスカーソルを当てる)→右クリック→<コピー>、つぎにコピーしたい範囲(ここではF4〜F317)をマウスの左ボタンを押したままドラッグ→右クリック→<形式を選択して貼り付け>→“数式”を選択します。こうすると、数式だけがコピーされ、罫線などはそのまま残ります。
2学期の成績はH3の数式をK3にコピーして、その数式を下にコピーします。
罫線などの書式を入れる前なら、単純にF3をアクティブにしたまま、十字カーソルを右下隅にもっていくと、小さい中黒十字に変わるので、マウスの右ボタンを押しながらドラッグするだけで数式(書式も)がコピーできます。このとき、右クリックしたままドラッグしたら?
3. 得点分布表
私の学校では平均点ではなく、得点分布表を提出しなくてはなりません。ここで便利なのが、Microsoft Excel のfrequency関数です。ただし、frequency関数は“配列数式”として使うので、ちょっと慣れが必要かもしれません。もちろん、countif関数(※1)でもできます。
※ 配列数式の別の利用法はここをクリック。
私は得点分布表は別シート(「得点分布表シート」)でつくっています。
(1) frequency関数(度数分布)
配列数式と入れるためには、ちょっとしたお約束が必要です。まず得点分布の段階(区間配列)をつくります。「得点分布表シート」のC列がそれです。例えば、第1学期中間考査ではC4〜C14までに100、99、89、…、19、9(※2)を入力してあります。
A列とB列は得点分布の段階がよくわかるための表示で、計算には使っていません。罫線を使って(罫線があるところとないところを使いわけて)、印刷するとA列〜C列までが一つのセルに見えるようにしてあります。
データ配列は「教科成績シート」からもってきます。絶対参照と相対参照(※3)を使い分けていますが、これは第1学期の中間考査の一つの列(1組)をつくったあと、横にコピー(2組以降)したり、下にコピー(1学期の成績以降)するときに便利なようにです。
入力は得点分布の値を入れる列(ここではD4〜D14)のすべてを反転(マウスでドラッグ)させてから、=FREQUENCY(教科成績!F$3:F$47,得点分布表!$C4:$C14) と入力します。実際にはデータ配列や区間配列は、該当する部分をドラッグしてもってきます。もちろんこうした範囲は手で入力してもいいです。そのあと最後に、一部を絶対参照に変更しています。
最後が重要で、[Shift]+[Ctrl]+[Enter]と3つのキーを同時に押します。すると自動的に式は={FREQUENCY(教科成績!F$3:F$47,得点分布表!$C4:$C14) } となります。つまり両側に { } が自動的につきます。この { } が配列数式の記号です。ついていなかったら入力のミスです。
※1 度数分布をcountifで
度数分布はcountif関数で求めることもできます。例えば、<=COUNTIF(教科成績!F3:F47,(">=70"))-COUNTIF(教科成績!F3:F47,(">=80"))>のようにすると、第1学期の中間考査で70点以上、80点未満の度数を求めることができます。絶対参照を使うにしても、ちょっと式の入力が面倒? でも、配列数式が使いづらいということなら、こちらの方がいいかもしれません。
※2 連続データ
90〜0とか、99〜9のように、-10ずつ減らしていく連続データの入力も簡単にできます。はじめのセルをアクティブにして(クリックして)、その右下隅にマウスカーソルをもっていくと、十字が太いものから細いものに変わります。この状態で、右クリックしたままコピーしたい方向にドラッグします。最後までドラッグしたら右クリックを解除します。するとメニューが出るので、その一番下の<連続データ>で増分(減分)を入力すればOKです。
※3 絶対参照と相対参照
Excelなどの表計算ソフトでは、一つのセルに数式を入力すれば、あとはそれをコピーしていくと便利です。例えば「教科成績シート」の1学期の成績H3には、中間考査F3、期末考査G3の平均点を求める式(=IF(OR(F3<>"",G3<>""),ROUNDUP((F3+G3)/2,0),"")、本体は=ROUNDUP((F3+G3)/2,0)の部分です)が入っています。このセルをアクティブにして(カーソルをもってきて)、コピーしたい範囲(F4〜F317)を反転させ右クリック、メニューから<形式を選択して貼り付け>→<数式>を選びます。(単純に右クリックでコピーなどしないのは、罫線情報などの書式をそのまま生かすためです。)こうすると、自動的にH4以降のセルには、計算対象となるセルも自動的にF4、G4…と下に変わっています。これが相対参照です。
しかし、これでは不便なことがあります。ある特定のセルの値を使いたい、それが移動しては困るというときには絶対参照を使います。セルの名前の行・列に前に“$”をつけます。こうすると、式をコピーして使っても、参照すべきセルは固定されたままになります。また、セルの範囲に名前を付けておき、その名前を参照すれば自動的に絶対参照になります。
4. 5段階評価への換算
5段階評価への換算もしなくてはなりません。私の学校では単純に、得点を5段階評価に読み替えます。このさい、if文を多重に使ってもいいのですが、vlookup関数を使うとスマートにできるし、式の入力のチェックも簡単だと思います。
(1) 換算表(セルの範囲に名前)
「教科成績シート」のW325〜X330が100点満点の成績から、5段階評価への換算表です。私の学校では、80点以上が5、以下、65点、45点、25点を境に4、3、2、1です。換算表はこのように昇順でつくります。この表を絶対参照で利用してもいいのですが、さらにわかりやすくするためにこのセルの範囲に“5段階評価換算表”という名前を付けておきます。
W325〜X330をアクティブにして(マウスでドラッグして)、上のバーの<挿入>→<名前>で“5段階評価換算表”とでも、名前を付けておきます。
なお、このように成績表とは性質の異なる表は、成績表の対角線の外側(ここではY325の外側)につくります。そうしておけば、成績表で行・列を挿入・削除しても影響を受けません。
(2) vlookup関数
N3に =IF(M3<>"",VLOOKUP(M3,_5段階評価換算表,2),"") (本体はVLOOKUP(M3,_5段階評価換算表,2)
と入力します。最後の2は、換算表のなかの2番目の列の値を参照せよという意味です。つまり、書式はvlookup(検索値,範囲,列番号)です。“5段階評価換算表”が範囲になります。範囲の左端の列は昇順に並べておく必要があります。この式の場合は、検索値が見つからない場合に、検索値未満で最も大きい値が使用されます(つまり70点なら65点と見なして“4”とする)。詳しい使い方や書式は、ExcelのHelpを参照してください。
※ 5段階評価を多重ifで
ifを多重に重ねてもできます(最大7重までできる)。例えば、<=IF(M3>=80,5,(IF(M3>=65,4,IF(M3>=45,3,IF(M3>=25,2,1))))>という具合です。式の意味は、(M3が80以上だったら5,そうでなかったら(M3が65以上だったら4、そうでなかったら…))))ということです。括弧が多くなってくると、その対応で誤りが起きやすくなると思います(一応色は付きますが見にくい)。
(3) 数式のコピー(-2-)
このN3を下へコピー(数式だけをコピー(2.(5)参照)します。
5. 見栄えと使い勝手
計算方法そのものではありませんが、表を見やすくするために私が使っている方法を紹介します。
(1) 条件付き書式
赤点・白点の自動表示です。あらかじめ、点数・欠課時数のセル(の範囲)に、[書式]→[条件付き書式]を設定しておきます。「セルの値が何点未満だったら赤で表示」とかにしておくわけです。こうしておけば赤点・白点のチェック漏れがありません。私の学校(高校)では25未満が赤点なので、25点未満を赤(さらにモノクロ・プリンタの場合も考えて太字斜体、二重下線)にしています。
欠課時数については、「教科成績シート」のU3〜W9に各学期・各クラスごとの授業時数を入力すると、出席がその2/3を越えない者をチェックするようにしています。具体的には、まずO3の[条件付き書式]で<数式が>で<=(O3>$U$3/3)>入力します。あとはこれをO4〜O48に、書式をコピーします。方法は数式のコピーと同じで、最後に<数式>ではなく<書式>を選びます。O48は2組ですので、参照するセルを<=(O48>$U$4/3)>と授業時数を入力したセルに変更します。これをまた3組の1番まで書式コピーします。さらにクラスごとに参照するセルを変えて7組まで条件付き書式を設定します。
2学期、3学期のP列、Q列にも同じように条件付き書式を設定します。
罫線に気をつけてください。罫線を引いたあとでは、罫線情報もコピーされるので、もう一度罫線を引かなくてはなりません。
(2) 枠の固定
縦・横に長い表をつくると、入力が進むのに従いだんだんスクロールして、表題(名前や科目名など)が見えなくなります。そのときはスクロールしてもいい範囲の一番左上のセル(例えば「教科成績シート」ではG3)にカーソルを移動し、[ウィンドウ]→[ウィンドウ枠の固定]にすると、いつも見たい行・列はスクロールと連動しなくなり、つねに見えるようになります。
(3) 各ページに表題
担当教科では複数のクラスを持つことが多いと思います。一番上の行(の複数)だけに表題を入れておくと、2番目のクラスから、表題が印刷されません。そこで、[ファイル]→[ページ設定]→“シートタグ”の「印刷タイトル」で、どのページを印刷するときにも、表題として印刷したい先頭の行(と列)を指定しておきます。すると、クラスごとに改ページしても、つねにどのクラスでも表題も一緒に印刷されます。印刷プレビューで確認してみてください。
※ もちろんクラスごとに表題を再びつくってもいいし、クラスごとに別シートにしてもいいのですが(x_x)
(4) 改ページ
「教科成績シート」では、印刷時にクラスごとで改ページをするには、[表示]→[改ページプレビュー]で、クラスが変わるところで改ページするようにしておきます。その際、(3)のように表題を指定することを忘れずに。
いちおう、「教科成績シート」ではクラスごとに改ページ、「得点分布表シート」ではテストごとに改ページをしてありますが、プリンタが替わるとずれる可能性があるので、改ページプレビューで確認し、ずれていたら直してください。
「得点分布表シート」では、定期考査ごとに別ページにします。印刷時に、該当するページ(第1学期中間考査が1ページ、第1学期成績が2ページ、…です)だけを指定して印刷してください。
「教科成績シート」はA4判縦、「得点分布表シート」はB5判横という用紙を設定しています。実情に応じて変更してください。
(5) 印刷範囲
得点分布表などを同じシートにつくったときは、印刷範囲を指定しておくといいでしょう。[ファイル]→[ページ設定]→“シートタグ“→「印刷範囲」です。こうしておけば、必要な範囲だけが印刷されます。「教科成績シート」では、B1〜R317までを印刷範囲にしています。
(6) セルの書式
セルは罫線の種類を変えて、表を見やすくしています。例えば出席番号が5の倍数では二重線、10の倍数では中太線、もちろんクラスが変わるところでも中太線にしています。また、組・番号・氏名や科目名(試験名)などのセルには別の色を付けています。表題が青い色の列には<数式>を組み込んでいます。表題を黄色にした列にのみ数値を入力します。
(7) 平均点、最高点、最低点
これはおまけです。「教科成績シート」の323行〜325行です。平均点はクラスごと、学年全体を「得点分布表シート」でも求めています。平均点は割り切れても、小数第1位までを表示(例えば65.0と表示)するようにしてあります。
(8) シートの使い分け
このへんは個人の好みで使い分ければいいかと思います。データベースの設計ほどに気を使う必要はないでしょう。私は、なるべくブック数(ファイル数)は少なくしてシートで使い分ける、そのシートもあまり細かくわけない(例えば担当教科ではクラスごとに別シートをつくるようなことはしない)という方針でやっています。
(9) フィルター
私の学校では、高2以降は選択科目が多くなります。私が担当している地学もそうです。選択科目についての情報をA列に入力できるようにしておきました。私の学校では、クラス全員が選択していれば“1”、複数のクラスを分割・合併して授業を行う場合は、地学Aとか地学Bという授業名がつきます。例えば、3組、4組の地学選択者を合併した授業は地学A、5組、6組の地学選択者を合併した授業は地学Bという具合です。場合によっては、2組の地学選択者の一部は地学A、残りの選択者は地学Bということもあります。
そこで、こうしたフィルターをつくっておくと便利です。「教科成績シート」のA2〜A322(A318〜A322がフィルターの効果を見るためのテスト用データ)までを反転させ、<データ>→<フィルター>で“オートフィルター”にチェックを入れると、A2(選択)に▼がつきます。ここをクリックすると、目的に応じた表示ができます。例えば、<空白セル以外>を選択すると、地学選択者のみが表示されるわけです。
選択科目でないときは、クラスにフィルターをかけておくと、特定のクラスだけを簡単に表示できます。成績の列にフィルターをかければ、TOP10とかも簡単に表示できます。
1. クラス担任用ファイル
まず、下のモデル・ファイルをダウンロードしてください。ダウンロードの方法がわからないときは、ここをクリックしてください。
tannin_2.xls(非圧縮、約244KB、2003年5月24日、同年7月4日小改訂、同年7月12日改訂)
なお、このファイルを開くときに「このファイルはマクロを含んでいます。マクロを有効にしますか云々」という表示が出ます。実際にはマクロは含んでいませんが、元ファイルの痕跡が残ってしまいました(ウィルスではないのでご安心を)。このときは『いいえ』で開いてください。なおこのマクロは、一番最初のシートで各生徒のレーダーチャートを作成・印刷するためのものですが、このページでは公開を見送っています。
ファイルは1クラス45名(以内)を想定しています。それ以上の場合は、各自で行を挿入して対応してください。
生徒の名前データが、教務などからExcel形式(あるいはテキスト形式)で入手できるなら、それをコピーして使うと簡単です。クラスは一番の生徒だけ入力して、後はコピーして使います。教務のデータ形式と合っているのなら、組、番、姓、名の全体を「形式を指定してコピー」(値だけをコピーする)します。
1学期中間、1学期、2学期中間、2学期、学年成績の他、出欠統計、5段階評価、おまけとして仕事分担用のシートがあります。さらにレーダー・チャート用のシートもありますが(これはマクロで実行します)、今回はマクロをはずしたので何も表示されません。このモデル・ファイルを開いたときは、まず1学期中間シートがアクティブになります。
なお、E列、F列は非表示にしてあります。ここには例えばモデル・ファイルのように姓名の読みを入れたり、あるいは印刷時のときに使うよう「外字」を入れておいたりします。このモデル・ファイルでは使用しません。
試験科目は各学校・学年によって大きく違うと思います。モデル・ファイルでは17科目+芸術(どれか一つを選択する)を想定しています。これより少ない場合は列を削除するか、非表示にするといいと思います。これよりも多ければ列を挿入してください。
縦の二重線は教科の境界、細線が科目の境界を想定しています。罫線の引き方は下を参照してください。
各科目は25点未満(赤点)の場合、条件付き書式を利用して、自動的に赤点になります。赤点の基準が違うときは、各自で条件付き書式の条件を変えてください。
モデル・ファイルでは1学期の中間から学年成績まで5枚のシートを準備しましたが、実際には一つのシートがうまく動いたら(自分に合わせて編集したら)、そのシートをコピーして利用する方がいいでしょう。
※ クラス担任としては、生徒各自に渡す個人成績表の印刷という仕事もあります。私は個人成績表は、ExcelのファイルをAccessにリンクさせて、Access側で印刷しています。Accessの方が印刷時のレイアウトが自由だし(既定の用紙に印刷するときも位置決めが簡単)、Excelのようにマクロを組む必要がないからです。ただし、Access編のアップは今回は見送ります。各シートでは、Accessとリンクさせるときのためにある範囲に名前を付けています。ツールバーの左の「名前ボックス」の▼をクリックすると、それを見ることができます。
※ モデル・ファイル修正
2003年7月4日、12日で、得点分布表の不都合を修正し、さらに、欠課時数記入用のシートを加えた。この結果、モデル・ファイルをtannin_2.xlsにバージョンアップした。
2. 成績
(1) 合計
sum関数(SUM(G3:AA3)の部分)を使って各生徒の合計を求めています。ただし、下のように if関数 を使って、全科目を受験しなかった生徒は合計欄に何も表示しないようにしてあります。
=IF(OR(G3<>"",H3<>"",J3<>"",L3<>"",M3<>"",N3<>"",O3<>"",Q3<>"",R3<>"",S3<>"",T3<>"",U3<>"",V3<>"",W3<>"",X3<>"",Y3<>"",Z3<>"",AA3<>""),SUM(G3:AA3),"")。受験すべき科目の一つにでも成績が入力してあったら、sum関数を実行せよという意味です。
(2) 順位
rank関数を使って、クラス内の順位を求めています。合計と同じく、全科目を受験しなかった生徒は非表示にしています。ここでは、合計欄が計算されているかどうかで判断しています。
(3) 赤点数と白点数
countif関数で、赤点(このファイルでは25点未満)と白点(出席時数不足で点が出ない)の科目数とカウントしています。順位と同じく、合計欄が計算されている生徒のみを対象としています。赤点の基準が異なるときは、セルAD3の式中(下の式中)の25を適当な数値に変えて、それを下にコピーしてください。
=IF(AB3<>"",COUNTIF(G3:AA3,"<25"),"")
白点については、芸術は一つしか選択しないので、表上の白点数から-3して数合せをしています。
(4) 備考
備考はExcelでは印刷しません。受験しなかった理由などを書きます。私は生徒へのコメントを書いて、Access側で通知表に印刷しています。
教科担当編の3.得点分布表と同じように、frequency関数で合計点の分布を求めています。
(6) 印刷
印刷範囲として、備考をのぞいた部分(成績と得点分布表)を設定し、そこだけを印刷しています。B4判縦を想定しています。デフォルトでははみ出すので、余白を小さくしたりして、改ページプレビューできちんと1枚(分布表を入れると2枚)に印刷されることを確かめます。
このファイルでは、少し縮小(97%)で印刷するようにしてあります。
実際の印刷は、各自の環境によってずれるので、必ず改ページプレビュー、印刷プレビューで確認してください。
(7) 芸術
芸術は選択科目なので、AH列にmax関数(ある範囲の最大値を求める)を使って芸術の点をコピーしています。これはレーダーチャートに使う予定です。今回は使用しません。
3. 欠課時数
各学期ごとのシートにしてあります(最後は学年の通算)。各科目の欠課時数を入力します。各科目の一番下のセルに授業時数を入れると、出席が2/3を越えない生徒をチェックします。この基準は私の学校のものですから、各学校の内規に合わせて変更してください。
4. 出欠統計
まず、各月の授業日数を入力しておきます。モデル・ファイルの授業日数は私の勤務校の昨年度のものです。あとは、各月の忌引き・出席停止、欠席、遅刻、早退のデータを入力します。各月の要出席日数は忌引き・出席停止の日数を入力すると自動的に計算されます。このデータは学期ごとに生徒に渡す成績表(通知表、通知餞)の印刷時(Access)で利用します。
年間の統計は、だいぶ右の方にあるBU列以降で自動計算されます。これは指導要録記載の際に利用します。備考は、忌引きや出席停止(学校伝染病の病名)の理由などを書いておきます。
画面を左右にスクロールしても、枠を固定してつねに名前は見えるようにしてあります。
全体として非常に単純な処理ですが、こうしたフォーマットを作ることは結構面倒です。でも、一度頑張って作ってしまえば、あとは毎年授業日数を変更するだけで再利用できます。
私の勤務校では、各学期の成績は100点満点、最後にそれをもとにして5段階評価をします。このシートは各科目担当者から提出された5段階評価を入力するだけです。
6. 仕事分担
このシートはおまけです。私はこのように、クラスの生徒全員に仕事を割り振るときにも、Excelの表を利用しています。ここでは、文化祭での仕事分担で使ったものを、例としてそのまま残しておきました。
7. その他
(1) 行の挿入・削除
行を挿入する場合は、挿入したい行(複数可能)の場所をあらかじめ指定しておいて(例えばモデル・ファイルで47行〜51行をマウスで指定して(反転させて))、「挿入」→「行」で挿入します。削除は、削除したい行を指定して、「編集」→「削除」です。もしまちがって削除してもあわてずに、アンドゥで戻します(「編集」→「元に戻す」、あるいは“戻す”ボタン)。
挿入・削除した範囲の数式は、自動的に修正されます。ただし、罫線などはコピーされないので、必要ならば自分で弾き直なおさなくてはなりません。
(2) 列の挿入・削除
基本的には、行の挿入・削除と同じです。
(3) 列の非表示
列全部を非表示にしたいときは、その列を指定して(複数列の指定可)、「書式」→「列」→「非表示」です。再表示は、非表示の列をまたいで指定して(モデル・ファイルの場合はD列〜G列)、「書式」→「列」→「再表示」です。
なお、非表示しておいても、Accessで読み込むときはその列も読み込みます。
(4) 形式を指定してコピー
教務などからExcel形式(もちろんテキスト形式でもよい)の生徒の名前を入手できるなら、生徒名自分で入力する必要はありません。ただし、単純にコピー→貼り付けでは罫線が消えてしまいます。
こうしたときは、コピーしたデータを貼り付けるときに、「編集」(あるいは貼り付けたいところで右クリック)→「形式を選択して貼り付け」で『値』を選択します。
ただ、このモデル・ファイルでは、“姓”と“名”のデータを別の列に入れる仕様なのでご注意ください。
ここで、数式、書式を選択することもできます。式だけをコピーしたい、書式(文字の大きさばかりか、罫線・セルの色や条件付き書式なども)をコピーしたいなどというときに利用できます。
【教科担当編】の2.平均の(5)数式のコピー参照。
(5) シートのコピー
Excelの表の下には、シート・タグが見えます。作業中のシートは白くなっているはずです。ここを右クリックするとメニューが出ます。「移動またはコピー」を選択し、挿入先(コピーしたい場所)を選択し、「コピーを作成する」をチェックします。最後に「OK」でコピーされます。思う場所にコピーされなければ、上記で移動を選択するか、あるいは白いシートタグを、マウスの左クリックで正しい場所に引っぱって持ってくる(ドラッグ&ドロップ)で簡単に直せます。
(6) 罫線
ツールバーの罫線ボタンでは、罫線の細かい指定はできません。罫線を細かく指定するには、罫線を引きたいセルを選択(マウスで反転させる、複数のセルを一度に指定も可)、「書式」→「セル」→「罫線」タグで、引きたい罫線と、セルの場所(右側とか、あるいは斜線とか)を指定します。