2008年8月3日、カムチャツカ半島(カムチャッカ半島)の活火山アバチャ山(アヴァチャ山、2,741m)に登ってきました。旅行記はこちら。
成層火山であるアバチャ山は1737年以降16回の噴火記録があり、最新の噴火1991年です。この噴火では溶岩を流し、また溶岩ドームを形成し、泥流も発生しています。なお、アバチャ山についてはVolcano
Worldというサイトに簡単な解説があります。英語ではAvachinsky(アヴァチンスキー)となるらしいです。
http://volcano.oregonstate.edu/vwdocs/volc_images/north_asia/kamchatka/Avachinsky.html
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アバチャ山 |
(1) 山行
8月3日7時10分(日本より4時間早い(夏時間))、まだ薄暗い朝、アバチャ山に向け標高約800mのベースキャンプを出発です。この日は、標高差約1,900mを登下降することになります。天気は快晴。初めは傾斜もあまりきつくありません。ベースキャンプからあまり行かないうちは、たくさんの高山植物もあります。
高度あげるに従い、展望がどんどん開けてきます。なんといっても隣の成層火山カリャーク山(コリャーク山、Koryaksky)が大迫力。この日のカリャーク山は傘をかぶったりとったり、いろいろな姿を見せてくれました。このカリャーク山も活火山で、最新の噴火は1956年です。この噴火では頂上の北西斜面から爆発的な噴火となり、火砕流も発生しています。
※ 現地旅行会社Kamchatintour社のサイトには、このカリャーク山登山ツアーの案内も出ています。
いくつかの目標となるような場所、あるいは傾斜が緩くゆったりとした場所で適宜休憩を取りながら、ゆっくりゆっくりと登っていきます。何回かの休憩のあと、かつて何かの施設でもあったような場所で大休止(昼食タイム)となりました。気がつかないうちに時間がたっていて11時半ころでした。既に出発して4時間。標高900m程度のベースキャンプから1,000m以上登ってきました。アバチャ山の影を抜けると日差しが強いので、風のない場所は暑いくらいですが、稜線に出ると風がきつく寒さを感じます。レインウェアの上をTシャツ・登山用ベストの上から羽織ることにしました。
これから少し行き、貫入したマグマがむき出しになったあたり(下から見るとぴょんと飛び出て見えるよい目標、モニュメントもある)を過ぎると、傾斜がきつくなります。まわりの雄大な景色に慰められながら黙々と登るしかありません。さらに登り、赤い砂礫地帯になると傾斜は増し、その上砂礫で滑って大変です。頼りないロープが一本垂らしてあります。二本ストックで滑りを止めながら必死に登りました。
14時半、頂上(2,741m)の一角に出ました。出発から7時間以上でした。アバチャ山の頂上は巨大な火口を黒い溶岩ドームが埋めていて(鳥海山の頂上みたいです)、あちこちから噴気が昇っています。日本だったらこんなところは立ち入り禁止となるような場所です。少し休んでから、火口縁を半周(4分の1周?)しました。風が強い。でも風がないと、火山ガスを大量に吸ってしまいそうです。文字通り360°の雄大な展望を心おきなく楽しむことができました。
名残惜しいのですが、15時ころに下山開始。何しろ前日のパーティは8時出発、16時に頂上から下山を開始して、ベースキャンプに戻ったのが22時くらいになったそうです。ただ、緯度が高い場所の夏ので22時といっても十分な明るさはあります。
必死で登った赤い砂礫の急登は、下りでは落石を起こさないように慎重に降ります。下りもなかなか大変。でも一気に高度を下げます。目印の岩脈を過ぎ、16時50分ころ登山路から別れて、富士山の砂走りのような下山路を選びます。駆けるように下ることができます。下りも何回かの休憩を挟み、ベースキャンプに戻ったのは18時半、標高差1,900mを11時間半かけて歩くという長い行程でした。
ツアーリーダーと現地ガイド(外国人登山者は現地ガイドをつけないと登れないらしい、ガイドといっても学生・院生のバイトみたい、とはいってもとてもしっかりとしている)の適切なペース配分で、そして何よりも一日中快晴(前日は曇り、翌日は雨という天気)という絶好の日に恵まれて、楽しい一日となりました。
コースは頂上近くの赤い砂礫地帯(三歩登って二歩下がるという砂礫の急登、二本ストックが有効)以外はそれほど急登はなく、またもちろん危険箇所はありません。ただ、雪渓の状態によってはアイゼンをつけた方がいいときもあるようです。またこの日は一日中日差しがあったので、防寒(フリース or ダウンジャケットや耳を覆う防寒帽など)の必要はありませんでした。これも、天候次第でしょう。
写真はクリックすると拡大します。戻るときはブラウザの“戻る”ボタンをお使いください。
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7時10分、ベースキャンプを出発し、後ろに見えるアバチャ山を目指します。 | かすかに噴煙を上げるアバチャ山。 | 影アバチャです。影の右上にベースキャンプが小さく見えます。 | カリャーク山に立派な笠雲がかかりました。 | だいぶ登ると、前日散歩したラクダ山が下に見えるようになりました。 |
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逆光の噴煙と雪渓です。10時半ころ。 | 前を行く登山者たち。溶岩の岩脈が見えます。このあたりはまだ傾斜も緩やか。 | 11時半ころ、大休止。昼食をとります。何かの施設のあとでしょうか。 | きれいな全景を見せるカリャーク山。今年は雪が少ない? 下にラクダ山が見えます。 | 遠くにもたくさんの火山が見えます。 |
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小さな雪渓を越える登山者たち。標高2,000mを越えると傾斜がきつくなります。 | 見事な板状の岩脈です。このあたり(モニュメントがあるあたり)は、岩塊状の貫入岩も見られます。 | 噴煙が近づいてきました。 | キリマンジャロの氷河のように、雪渓が階段状にずれ落ちています。 | 小休止。赤い砂礫地帯です。 |
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頂上で記念写真。 | 頂上半周の終点、噴気の中の登山者。ここまで行けます。 | 赤い山体の巨大な頂上火口を黒い溶岩が埋めています。縁取りはイオウの黄色。至る所から噴気が昇っています。背景はカリャーク山。 | よい目標となる板状の岩脈。登山道が何本も見えます。雪渓の状態によりメインの登山道が決まるようです。 | 小さな雪渓のトラバース。16時を過ぎていますが、まだ登ってくる人たちが大勢います。 |
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アバチャとカリャークの間からガスが沸いてきました。カリャーク山の頂上には小さな溶岩尖塔(溶岩タワー)があるようです。ベースキャンプから撮影した溶岩尖はこちら。 | 岩脈付近から頂上を振り返ります。 | 「砂走り」を駆け下ります。 | ラクダ山下の雪渓をトラバース。 | 18時半、ベースキャンプに戻りました。アバチャ山があんなに遠くに。 |
(2) ジリス
アバチャ山のベースキャンプの近くにはたくさんのジリス(ホッキョクジリス(北極地栗鼠))がいます。大型の地上で暮らすリスです。どうも登山者たちからえさをもらえる、あるいは食堂の残飯をもらえることを期待しているのかもしれません。確かにちょっと太りすぎているようなものもいました。もちろん、ベースキャンプから離れたところにもたくさんいます。ここのジリスはビーバーみたいに尻尾が平らで、とても可愛い動物です。背中に白い斑点があるものと無地のものがいるようです。
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(3) 高山植物(花の名前には自信がありません。間違っていたら是非ご教示ください。)
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(ミヤマ)アズマギク | イワブクロ。つぼみの拡大はこちら。 | ステラリア・エスコルジアナ? 拡大はこちら。 | チョウノスケソウ | チョウノスケソウの雌しべ |
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アメリカン・ペイントブラシ(カスティレヤ・パリーダ) | イワギキョウ | トウヤクリンドウ | (チシマ)クモマグサ。拡大はこちら。 | オキシトロピス カムチャティカ(マメ科の植物)。拡大はこちら。 |
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エゾタカネヤナギ | コケモモの実 | ヤナギラン | パパヴェル ミクロカルプム(リシリヒナゲシの仲間) | 氏名不詳 |
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エゾツツジ | エゾツツジの群落 | アキノキリンソウ | (チシマ)フウロ | クロトウヒレンの仲間? |
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(タカネ)シオガマ | 氏名不詳 | ウドの仲間 | 氏名不詳 | ハハコグサ |
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ハクサンイチゲ | 氏名不詳 | ウルップソウ | イワウメ? | ミヤマハンショウズル(の仲間?) |
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氏名不詳 | チシママンテマ | チシママンテマの花の拡大 | 氏名不詳 | ミヤマクワガタ |
2008年8月記