第二部−3− 大気と海の科学

第13章 海陸風と季節風

目次
1. 海陸風
2. 季節風
用語と補足説明

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1.海陸風

 陸と海を比べると、陸の方が暖まりやすく、また冷えやすい。逆に海は暖まりにくく、冷えにくい。つまり、熱容量を比べると、陸が小さく、海が大きい。そこで、晴れた日の昼間は陸の方が海よりも温度が上がり、陸に接した空気は密度が小さくなり上昇する。これを補う形で海から空気が入り込む。これが海風である。逆に夜は、陸よりも海の方が暖かい。そこで海の空気は上昇し、それを補う形で陸から空気が流れ出す。これが陸風である。朝と夕方、海風と陸風が逆転するとき風が止まるが、これを凪(なぎ)という。朝の凪を朝凪、夕方の凪を夕凪という。

 海陸風は規模の小さな風で、高さは海風で数百m〜1000m程度、陸風はもっと薄くて400m程度である。また風速もだいたい海風で5m・s-1前後、陸風はもう少し弱く数m・s-1〜5m・s-1程度。だから低気圧などによる風の強い日は目立たない。また曇りや雨の日は陸と海の温度差が大きくならないので目立たない。海風は海岸線から数十km〜50km程度まで入りこむ。ただし、地形の影響を強く受ける。

 海陸風と同じようなものとして、山谷風がある。

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2.季節風

 海陸風と同じようなことが、季節の変化でも起こる。大陸と海洋を比べると、夏は大陸の方が海洋よりも暖まりやすいので海洋より暑くなり、冬は海洋が冷えにくいので大陸よりも暖かい。そこで、夏は海洋から大陸に向かって風が吹き、冬は逆に大陸から海洋に向かって風が吹く。日本では夏は南よりの蒸し暑い風、冬は北西の冷たい風がそれである。このように季節によって決まった向きに吹く風が季節風である。ただし日本の夏の季節風はあまり目立たないので、日本では季節風といえば冬の北西の風を指すことが多い。

 日本を含めた東アジアから、東南アジア、さらにはインドに吹く季節風をモンスーンという。またモンスーンは夏の季節風がもたらす雨を指すこともある。


モンスーン地帯
北海道大学:http://www.sci.hokudai.ac.jp/science/science/H13_08/tikou/ScienceTopics_4.htm

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用語と補足説明

山谷風盆地や谷間では、昼間、山の斜面が日射で暖めれられて斜面に沿って上昇する。つまり谷から風が吹く。これが谷風である。夜間は逆に山から風が吹き降りる。これが山風である。

 ネパールのカリガンダキ川が作る深さ数千メートルの峡谷(幅が広いので日本の黒部峡谷などとはイメージが違う)では、日が高くなってくると谷の下流から上流へ向かう強い風が毎日のように吹く。これも谷風であろう。北イタリアのアオスタ渓谷でも、昼になると谷の下流から上流に向かって強い風が吹いていた。本来谷風とはこのように、谷筋を吹く風なのかもしれない。

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