破壊することは簡単でも、修復することは難しい。環境もまず、できるだけ壊さないようにしなくてはならない。
雨水は大気中の二酸化炭素を溶かし込んでいるため、もともとpH5.6程度の弱い酸性を示す。ところが化石燃料を燃やしたときに生ずるイオウ酸化物、窒素酸化物を溶かし込んだ雨水はpH2〜4台、ひどいときはそれを下回る強酸性の雨になるときもある。ようするに、硫酸や硝酸の雨が降ると考えていい。なお、pH7が中性、それより値が小さいと酸性である。
綾里と南鳥島では綾里の方が酸性度が高いことがわかる。綾里においては全体にpH値が下がり気味。また、2003年、2005年の南鳥島でpH値がが大きく低下しているのは、北マリアナ諸島アナタハン火山の噴火によるものといわれている。 |
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図5-2 日本で報告されている酸性雨のpH http://scienceportal.jp/entertainment/magazine/rikatan/2529/20120220.html |
気象庁降水中のpHの経年変化(岩手県綾里と南鳥島) http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/cdrom/report/html/5_1.html |
ヨーロッパではすでに湖沼・森林、さらに建造物に被害をもたらしている。発生源が数千km離れていても、酸性雨の原因になることがあり、国家間のトラブルになることもある。韓国・中国の影響が日本にも出始めているかもしれない。<5・1 四大公害病>の(4)四日市ぜん息の項参照。
東アジア地区でも、酸性雨の現状やその影響を解明するとともに、各国の協力体制を確立することを目的として、2001年(平成13年)から、東アジア酸性雨モニタリングネットワーク(EANET、2007年現在の参加国は日本、カンボジア、中国、インドネシア、韓国、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、フィリピン、ロシア、タイ及びベトナムの13か国)が動き始めている。現在までのデータは、pHの年平均値4.18〜6.51の範囲であり、とくに中国南西部で強い酸性雨が報告されてる。
ENETの測定データ 環境白書平成18年版
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