巨大噴火の地球科学 大量珪長質マグマの成因とマグマシステム 高橋正樹 東京大学出版会 ISBN978-4-12-060772-8 5,400円+税 2025年5月

 カルデラを形成するような超巨大噴火(カルデラ噴火)のもととなる珪長質マグマは、単純なマグマの分化(マントル物質(かんらん岩)が部分溶融してできる苦鉄質マグマ(初生マグマ・本源マグマ)からの分化)では、ごくわずかしかできない。それなのなぜ、超巨大噴火を起こすような大量の珪長質マグマができて溜まるのか、とても不思議だった。

 だが、珪長質マグマが地下深くで固まった巨大なバソリス(底盤)の存在は知ってたし、それが地上に剥き出た山(燕岳とか甲斐駒ヶ岳とか)、さらには全島花崗岩といってもいい屋久島などもあるのだから、地下に巨大な珪長質マグマがあっても、考えてみればたしかに当然といえば当然だった。

 この本は、第1部巨大噴火の地球科学、第2部大規模珪長質マグマ溜まりの地球科学の2部構成になっている。だから第1部で巨大噴火を起こした個別火山の記述、第2部で大量珪長質マグマの成因ときれいに別れていると思った。実際は、第2部でも個別火山についての記述が多い。つまりまだ、巨大噴火については記載がメインという研究段階のようだ。

 一応、マントルから供給される苦鉄質マグマの熱(+水の存在)によって、地殻物質が溶融されるということのようだが、地殻物質の平均はそれほど珪長質っぽくないはず(中間質(安山岩質からデイサイト質))、それに苦鉄質(玄武岩質)のマグマが混ざれば、ますます珪長質(流紋岩質)から遠ざかる。なので、大量の珪長質マグマができるのはやはり不思議。

 そもそも、地殻はマントルの絞りかす、つまり堆積岩も元をたどれば火成岩のはずなので、それが全部混ざって融けてしまえば、初生マグマ(玄武岩質)に近づくはず。ということで、この本を読んでもよくわからなかった。

 だがしかし、現実問題として超巨大噴火は今後も必ず起こる。起こるとしたら西日本(九州)の可能性が高い。そして起きたら九州壊滅、さらには西日本壊滅はほぼ確実、それどころか社会システムが脆弱になった今日、日本全部が壊滅に近い状態になると思う。希望的な観測では、超巨大噴火を起こすような異変は、事前にある程度キャッチできると思うが、キャッチしたところで対策はない。超巨大噴火が起これば、世界的な影響があるだろうから、世界からの救助・救援は期待できない。

 最新の超巨大噴火・喜界カルデラ噴火からすでに7300年、次の噴火はいつになるのだろう。日本の没落がいわれて久しいが、こうした噴火が起こればそれどころではない。生きているうちはないことを願うばかり…。

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2026年2月

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