スガモプリズン 内海愛子 岩波新書 ISBN978-4-00-432077-7 940円+税 2025年8月

 日米講和条約が結ばれ、スガモプリズンが廃止される1958年までの内部の状況。内部はかなり自由で、新聞の発行も許されていたという。もちろん占領軍(GHQ)の批判は御法度という枠内で。

 数千人という収容された戦犯の多くはBC級戦犯。BC級は捕虜収容所の監視役だった人が多い。ここがA級戦犯とまったく違うところ。政策・戦争立案・実行者でない、でも、当時の日本軍の命令に従わざるを得なかった下級兵士、軍属。捕虜収容関係の戦犯に対する逮捕・裁判は“報復”の意味が強い。

 この本で改めて認識したというか、自分の問題意識に登っていなかったことは、BC級戦犯の中には、朝鮮人、台湾人も多く含まれていたということ。日本人として軍役につき、捕虜収容関係に携わって戦犯になった(日本人として裁かれた)、でも釈放されたら日本人ではなくなっていた、そして日本政府からばかりか、南北朝鮮政府、台湾政府からも保護の対象ではなくなってしまったという問題。

 たぶん「私は貝になりたい」(1958年10月、構成:橋本忍、演出:岡本愛彦、主演:フランキー堺)をリアルタイムで見たと思う。もちろん意味はまったくわからなかった。ただ、当時は家にはTVはなかったはず。とすると、映画版(脚本・監督:橋本忍、主演:フランキー堺)だったかもしれない。子ども一人で映画館に行く年齢ではなかったから、親に連れられて行った? 

※ 2008年リメイク版の主演は中居正広なので、もう放映されることはない?

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2025年12月

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