みんなの高校地学 鎌田浩毅・蜷川雅春 講談社ブルーバックス ISBN978-4-06-537797-0 1,300円 2024年12月
こういう本は難しい。災害をもたらす地震・火山、あるいは台風、集中豪雨など自然災害をもたらす現象の基礎的な知識。さらにはマスコミを賑わす宇宙の話題や生命の起源の話、これらすべてを扱う高校理科の一科目「地学」。でも実際の「地学」は絶滅危惧種といわれて久しい。「地学」を開講している高校は少ないし、さらに専門の教員がいる学校はもっと少ないだろう。
※ 物理や化学を専門とする人が「地学」を教えてもいいのだが、苦手な人が多いようだ。自然に対する見方が物理や化学のような個別分析的な見方よりも、総合的演繹的な見方が多いし、扱う空間・時間のスケールも違う。
こうしたことを前提とすると、 このような本になってしまうと思う。つまり、高校地学の内容を初めて知る人に対しては、高校地学の内容をそのまま本にするしかない。だからどうしてもこうした知識網羅的な本になってしまう。まあ、「地学」は鉱物・岩石、地質、化石を扱うことは知っていても、地震や火山、プレートテクトニクスも扱う、さらには大気・海洋も扱う、そればかりか宇宙までも扱うこと、さらには地球温暖化に代表される今日的な環境問題も守備範囲であることをを初めて知る人も多いかもしれない。 扱う空間も微小サイズから宇宙の広がりまで、時間も138億年前から現在までというスケールを扱う科目。
現代を生きる人たちには必要な知識と考え方を、どう学校教育、さらには社会人となった人たちに伝えてればいいのか、そしてその前提として高校地学が壊滅的な状態であること踏まえればどうすればいいのか、この本はその一つの挑戦なのだろうが、どう受け取られるのだろう。つまり、高校地学の内容をすべて羅列的に網羅すると、どうしてもこの本のように高校地学教科書のようになってしまう、その違いをもっとはっきりとさせた方がいいと思った。具体的には、各章ごとに未解決な問題とか、多数の説がある問題とかを紹介するといいと思う。教科書は「定説」しか書かないことが多いので。
かえってこうした字が多い本よりも、入門書としてはこの本の巻末でも紹介されている「フォトサイエンス地学図録(数研、860円、ISBN978-4-410-28773-2)」のような、写真と図を主にして、その解説を簡単に書いているような本の方がいいかもしれない。カラー図版が多いのに860円と安いし、ぼぉ〜っと見ているだけで楽しいし。
目次は裏表紙帯
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2025年3月記