<弱いロボット>から考える 岡田美智男 岩波ジュニア新書 ISBN978-4-00-500989-3
990円+税 2024年8月
わざと「不完全なロボット」をつくる。不完全なロボットの方が、人とのコミュニケーションをとりやすい場合がある。思わず人のほうから手助けをしたり、話しかけたりという。しかも割とありふれた材料、ホームセンターとか古電気商(パーツ屋ではない)とから入手できるもので。
「箱男」というイメージを出しながら、その作者を阿部公房としているのは残念。単なるワープロの変換ミスだろうが、筆者ばかりか、編集者、校正者も気がつかなかったのは。まあ、人のことをいえたものではないが。
まえがき
第1章 他者とのかかわりを志向する〈弱いロボット〉
えっ、弱いロボット? それは、どんな?
テーブルを囲んでの雑談から
ぼんやりと心に描いてみる
ゴミ箱の姿をしたロボットはどうか……
あり合わせの部品をかき集めてきて……
ロボットの振舞いをどう解釈するのか
子どもたちとのファーストコンタクト
これってロボットなの? どこがすごいの?
フツウのロボットって、どんな?
子どもたちとの間に生まれる「しなやかな強さ」
ちょっとだけ手のかかるロボットはどうか
モジモジしながらティッシュを配ろうとする〈アイ・ボーンズ〉
フラフラとおぼつかなくさまよう〈ペラット〉
第2章 〈弱いロボット〉は、こうして生まれた!
あり合わせによる〈ブリコラージュ〉のすすめ
冷蔵庫の中のあり合わせを生かして……
ジャンケンで負けてたどり着いた世界
手探りで「音声」を生みだす試み
いい淀みなどの非流暢な発話の現象をどう扱ったらいいのか
砂浜の上を歩く蟻の足跡……
進化する仮想的なクリーチャとの出会い
雑談という現象を生みだせないものか
『ピングー』の世界に学ぶ
その「身体」なるものを作ってみてはどうか
〈む?〉の誕生
あの「壁」がさりげなく諭してくれていた……
第3章 「獲得」から「参加」へ
実社会と学校教育とのズレをヒントに「学びのスタイル」を再考する
大学で講義を担当してみた……
まだ〈定期テスト〉ってあるんだ!
学生たちの「モノ作りマインド」に応えなければ……
学びとは、文化的な実践への参加だ!
専門分野や大学の垣根を越えて
「TUTオープンチャレンジプロジェクト」始動!
未来志向のロボットやメディアとは?
〈アイ・ボーンズ〉の誕生
熱意の連鎖とは
「このロボットはやばいかも……」と思える瞬間
ロボットを作るために、なにかいい本はないでしょうか?
ヤスリ掛けから始めてみよう!
「獲得メタファ」と「参加メタファ」
手のひらサイズのロボットを作れないか……
第4章 「ひとりでできるもん!」って、ホントなの?
レジリエントな生き方を〈弱いロボット〉たちに学ぶ
ドキドキするなぁ……
「左目から見た自画像」との出会い
自分の顔なのに「自らの視点」からは見えない!
〈顔を欠いたような身体〉でも不自由を感じないのはなぜか?
なぜドキドキするの?
「ひとりでできるもん!」って、ホントなの?
その地面がわたしたちを上手に歩かせている
自らの中に閉じることなく、まわりを味方につける!
オドオド、モジモジの正体は?
ロボットたちはドキドキすることはないのか?
オドオドと話そうとする〈トーキング・アリー〉
子どもたちの言葉足らずな発話に学ぶ
〈お掃除ロボット〉のしなやかな方略とは?
いい直し、いい淀みのすすめ!
第5章 コンヴィヴィアルなかかわりを求めて
利便性・効率性というモノサシを再考する
注文をまちがえる料理店
素朴な道具とわたしたちのかかわり
〈○○してくれるシステム〉と〈○○してもらう人〉との微妙な関係
テクノロジーは本当に人を幸せにしているのか?
「なんだか、幸せ!」の形……
「なんだか、幸せ!」な気持ちを共有する
ロボットとの間で「なんだか、幸せ!」を生みだせないものか
ちょっとモノ忘れしてしまうロボットはどうか
レジリエントな社会をどう作りあげていくか
〈関係の中に埋め込まれる!〉という選択
あとがき残念。
2024年9月記