野生生物は「やさしさ」だけで守れるのか 朝日新聞取材チーム 岩波ジュニア新書 ISBN978-4-00-500988-6 940円+税 2024年7月
市街地に登場したために捕獲されたシカには可哀想と多くの声が上がるが、でもその裏で年間50万頭以上のシカが駆除されているということには反応がない現実。(この本では2014年度以降50万頭以上としているが、じっさいは70万頭超えのシカが駆除されている )https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs4/sokuhou.pdf )。
アメリカザリガニを「駆逐してやる」と踏みつぶす子供。「外来種=駆除するもの」とすり込まれてしまっている。つまり、「外来種=悪(その裏には在来種=善)」と。これは排他的なナショナリズムにつながっていく、ヒト社会にも拡大解釈されていく可能性が大きいと思う。
この本でも指摘されているとおり、そもそも我々が食べているものの多くが外来種、米(稲)、麦、トウモロコシなどの穀物ばかりか、野菜や果物も。
じっさいに奄美大島でマングローブ駆除に携わっている人たちへの取材もある。まさに、自分の仕事をなくす仕事。
「これが正解」というものがないという前提で、それでも対応を考えていく必要があると思う。
2024年8月記