宇宙はいかに始まったのか 浅田秀樹 講談社ブルーバックス ISBN-978-4-06-535904-4 1,000円+税 2024年6月
ナノヘルツの重力波、つまり10^-9Hz(10億分の1Hz)、1年は3.156925秒(約π×10^7秒)、ということは1回振動するのに約30年という、重力は光速で伝わるのでその波長は約30光年というもの。実際の観測チーム(複数)は20年以上かけて観測続けてきたという。
それは初めて重力波の観測に成功した地球上の施設を使ったLIGOと違い、きわめて正確な周期で電波を出すパルサーを使うもの(パルサー・タイミング・アレイ)。
これによって宇宙誕生の痕跡、巨大ブラックホールなどが“見える”ようになるという。
また、最近では位置天文学(欧州が2013年に打ち上げた衛星ガイア、すでに20億個近くの位置を測定したという)から、空間のゆがみ=重力波の通過の観測にも挑んでいるという。
少し前までは、重力波は理論的には存在しているのほぼ確実だが、実際に観測するのは至難の業といういうことだった。それが今では観測できるのは当たり前、それが何を意味しているのかを研究する時代になっているようだ。ただ、上に書いたように、結果は派手でも、実際の観測は地味で気の長い作業、日本の現状では若手が取り組むには難しい分野でもあるかもしれない。
目次は裏表紙の帯を参照。
2024年8月記