太陽系新時代 探査機で迫る生命の起源 日経サイエンス編集部 ISBN978-4-296-11970-7 2,200円+税 2024年8月
月刊日経サイエンスに載った記事をまとめたもの。1960年代からの探査機の成果をまとめたというより、探査機の解説が多い。
思えば、大変な時代に生きてきたのかもしれない。惑星科学が探査機のフライバイ・着陸による観測に入った時代。1960年代のソ連(当時)とアメリカの競争。月に人類が到達しただけではなく金星や火星へ探査機を飛ばして直接観測。とくに金星に着陸して表面を撮影したのは、いまだソ連のベネラ・シリーズの探査機しかない(最初に撮影したのは1975年のベネラ9号)。
1970年代に入ると、アメリカの時代。マリナーやパイオニアの金星・水星、木星・土星の観測、さらには火星に着陸した探査機バイキング1号・2号(1976年)、そして1977年に打ち上げられたボイジャー1号・2号の木星・土星・天王星・海王星とその衛星の観測(1号は木星と土星のみ)、しかもまだ地球との通信を行っている。
生きているうちは無理かと思っていた冥王星(衛星カロンとそれ以外の衛星)も、2015年にニュー・ホライズンズによる観測があった(打ち上げは2006年)。ニュー・ホライズンスはエッジワース・カイパーベルト天体の写真も送ってきた。
この本にはそれら探査機による写真がたくさん載っている。もちろん現在では、NASAなどのホームページを探せばもっとたくさんのみごとな写真を見られるが、こうした本があれば、そうした画像を探すヒントになる。
2024年11月記