魔女狩りのヨーロッパ史

魔女狩りのヨーロッパ史 池上俊一 岩波新書 ISBN978-4-00-432011-1 1,000円+税 2024年3月

 ヨーロッパにおける魔女狩りとその背景。「魔女妄想」は、当時の人々、とりわけ魔女裁判の審判官の「性的妄想」でしかないのだが、それが教会や領主の公認の元で行われていたという事実。家族が家族を互いに告発・証言する。

 現在でもアフリカやインドの一部では、魔女狩り(リンチ殺人)が行われていると言うことにも言及する。だが、ヨーロッパ史ということなのだろうが、アメリカにおける魔女狩り(の歴史)については触れられていない。

※ トランプは逆に利用しようとしていますね。

 モンテーニュの言葉として紹介されている、「人間というものは、何かの事実を示されると、得てして真相を究明するよりも、その理由を探そうとするものである。」というのは、いろいろなところで見られると思う。

 いずれにせよ、そのシステマチックな裁判のあり方については、「わが友石頭計算機」(安野光雅)の図がいいと思う。

※ ケプラーの母親も魔女として捕まっている。この本には出ていないが、同じ岩波新書の「魔女狩り」(森島恒夫、1970年)にその顛末が出ている。王の知人でもあるケプラーの尽力でようやく救出されるが、釈放後まもなく死んでいる。過酷な牢獄生活だったと思われる。

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2024年4月記

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