熊楠さん、世界を歩く

熊楠さん、世界を歩く 松居竜五 岩波書店 ISBN978-4-00-022669-3 2,300円+税 2024年3月

 「未完の天才 南方熊楠」(志村真琴、講談社現代新書)がきわめて客観的な南方論なのに対して、こちらは昔からの大ファンによる熊楠の伝記というもの。

 表題の「世界を歩く」の実際は、3部構成の第2部「熊楠さん、世界の森をかけめぐる」だけ。あとは「学問の世界を歩く」というものになっている。

 「ピーター・ラビット」の作者ビアトリククス・ポターとはニアミスだったらしい。実際に会っていたら、どのような会話をしたのだろう。

 あと熊楠はネコ好きで、代々のネコの名はチョボ八だったそうだ。水木しげるに「猫楠」という、熊楠の伝記漫画もある。思わず読み直してしまった。

 いずれにせよ、就職したことはない、入ってくる原稿料はわずか、あとは家業(酒造り)を継いだ弟に頼っていたようだ。もっとも弟は、兄のことをあまり快く思っていなかったそうだ。最後は絶縁する。それはそうだろう。まあ、典型的な「高等遊民」だったわけで、それはうらやましい生活。

第1部 熊楠さん、図鑑の世界に目覚める
第2部 熊楠さん、世界の森をかけめぐる
第3部 熊楠さん、生きものを見つめる

※ おもに熊楠の帰国してからの生活を漫画化した、水木しげるの「猫楠」。熊楠に飼われた(熊楠と気のあった)猫(名前は猫楠)から見た熊楠の生態。 
https://www.s-yamaga.jp/dokusho/2006/nekogusu.htm

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2024年8月記

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