「はやぶさ2」は何を持ち帰ったのか 橘省吾 岩波科学ライブラリー ISBN978-4-00-027942-0 1,500円+税 2024年2月
はやぶさ2が持ち帰ったサンプルに中に、有機物が見つかったと報ずるマスコミは、すぐに「生命の起源」と結びつけるが、正確には筆者が強調しているように「生命の材料の起源」である。
もちろんこの本でも「はやぶさ2」自体にも言及している。でもより詳しいのはサンプルに含まれていた物質(鉱物・有機物ばかりか、液体・気体もあった)について、それらの物質がどうできたのか、さらにどういう歴史をたどってきたのか、それが太陽系の歴史とどう関わるのかを解説している。
※ サンプル採集の道具(サンプラー)を開発しているグループに、(理学系の人だけでなく)工学系の人が加わることによって、新たな視点ができたとあった。これ、同じ話を頓挫した宇宙科学研究所(JAXAの母体の一つ)のルナA計画でも聞いたことがある。観測機器を内蔵したペネトレーターの開発チームに、工学系の人が加わることによって、開発のスピードが増したという。もっともそれでも間に合わず、搭載する衛星が先にできてペネトレーターができたときには衛星が劣化してし中止となりました。この外部から見ればトンデモな問題を、きちんと総括されていないので最大の問題。
https://www.isas.jaxa.jp/.../spacecraft/others/lunar-a.html
2024年4月記