新種発見物語 島野智之・脇司編著 岩波ジュニア新書 ISBN978-4-00-500966-4 1,120円 2023年3月
11人の研究者の新種発見物語。子供のころの興味がずぅーっと続いているという人が多いが、なかには大学に入って目覚めた人もいる(子供のころには手が出ない深海生物)。いろいろな生物、ふだんあまり気にしないような生物にこだわっている人もいて、それぞれのコロニーもあるようだ。不思議な世界。
ただ、新種とは何かという新種ハンターにとっては根本的な問題が、後ろの「知識メモ」であっさり「種の定義に決定的なものはありません」となっている。これはこれで正しいと思うが。
もう一つ、なぜ珍しい生物を保護しなくはならないのかということに対しても、それは当然のこととして書かれているので、ジュニア新書という性格からして、ここもきちんと書いた方がいいと思う。
少年のころタガメを発見したことが新聞に載り、そこで見つけた沼が乱獲で荒らされてしまったこと、またヤンバルムカデが一時一頭13万円で売られたことなどが印象に残った。
※ ムカデを一頭、二頭と数えていたので、思わず「数え方の辞典」(小学館)を見てみたら、ムカデは「匹」だった。ムカデ業界では「頭」なのかな。チョウ(蝶)が例外的に「頭」で、ふつう虫(広い意味)は「匹」でいいみたい。チョウと根本的な差はないガ(蛾)も「匹」だそうだ。
2023年4月記