「戦前」の正体 辻田真佐憲 講談社現代新書 ISBN978-4-06-532129-4 980円+税 2023年5月
「戦前」とは、明治政府が方便として利用し始めた「記紀」の記述が、だんだんとその後に人たちには「真実という“神話”」になって、それに束縛されてきた時代、そしてその「真実という“神話”」は戦後の一部続いているという.
そうした神話を拡大解釈して、世界を統べるのは日本というコンプレックスの裏返しの妄想まで。
好々爺という印象を植え付けるのに成功した昭和天皇が(マッカーサーと並んだ貧弱な姿)、敗戦時に意味の無い「三種の神器」にこだわったのも、そうした束縛の結果という。だいたい、自分で積極的に戦争に関わったことは明らかなのに、軍部独走の被害者というイメージを作り、保身は成功したのだろう。
目次
はじめに
第1章 古代日本を取り戻す−明治維新と神武天皇リバイバル
第2章 特別な国であるべし−憲法と道徳は天照大神より
第3章 三韓征伐を再現せよ−神商たちの日清・日露戦争
第4章 天皇は万国の大君である−天地開闢から世界征服へ
第5章 米英を撃ちてし止まん −八紘一宇と大東亜戦争
第6章 教養としての戦前−新しい国民的物語のために
参考文献
おわりに
2023年7月記