日本のカルトと自民党 橋爪大三郎 集英社新書 ISBN978-4-08-721257-0 1,160円+税 2023年3月
自民党と生長の家、自民党と統一教会、さらには公明党の問題を「政教分離」の立場から見てみた本。
冒頭で『カルト』の定義がなされていて、それは時間とお金を無限に奉仕させるというもので、これは簡単でいいと思う。
肝心の自民党と生長の家との関係はどうだろう。生長の家の成り立ち、さらには戦前の政権(軍部)にすり寄りという関係、そのときの“教義”までが戦後にまで持ち越されたということ(明治憲法復憲=現憲法改定ではない)はいいとして、教祖谷口雅春の死後の生長の家(主流派?)自体は、自民党ばかりか政治からは手を引いていて、現在は環境にシフトしている。
だから、1960年代末〜70年代に積極的な政治活動を担った当時の生長の家の若者たち(伊藤哲夫安部元首相のブレーン、参議院議員衛藤晟一参議院議員など)、あるいは自民党に“加入戦術”(?)で潜り込んだ人やのちに生長の家に加わった人たち(自民党参議院のドンといわれた村上正邦議員や玉置和雄議員)と、現在の生長の家との関係はどうなのだろう。そして日本会議の中心的なメンバーでもある、出自が生長の家の人たちと現在の生長の家との関係、これらがこの本では不明。
統一教会については、その怪しげな成り立ちから解説をしている。いずれにしても、日本を含めた全世界を統一教会の支配下に置くということが目標とする教義の宗教(?)、現実的には汚れた日本は集金の対象でしかないという運動はその通りだと思う。政治組織としては「勝共連合」を擁している一方、北朝鮮とのパイプも誇示している奇妙な組織。お金が流れている可能性もあると思う。ほんと、なんでネトウヨが「反日」と騒がないのか不思議。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/192732
これも、選挙の手伝いと政治家による保護という相互依存の関係は明らか。自民党はどうするのかな。安部派を叩くチャンスなんだけど。
この本では、もう一つ公明党の問題も取り上げている。つまり、宗教団体(日蓮宗系の在家信者団体)である創価学会が政治組織である公明党を組織して、現実政治にからんで来るという問題。
これは、筆者の「政教分離」の考え方からきているが、筆者が理想と見ているアメリカ(合衆国)の現実はどうだろう。宗教団体が組織している力のある政党はないかもしれないが、政治にはかなり宗教の影を感じる。ヨーロッパではなおさら。
カルト教団に対しては、公安が監視していればいいというようなことをさらっということも気になる。
宗教はともかく面倒でやっかいという印象があるので、個人的には敬して遠ざけるという方法で対処していくしかないと思っている。
2023年4月記