ネット右翼になった父

ネット右翼になった父 鈴木大介 講談社現代新書 ISBN978-00-06-530889-9 900円+税 2023年1月(2023年2月第2刷)

 定年退職後も地域で活動を続けていて、若いころから好奇心旺盛、パソコンも使いこなしていた父。現役時代も退職後も出来る女性に対するリスペクトがあった父、台所にも立っていた父。ハングル文字を評価し、退職後は中国に語学留学したほどの父。それなのになぜ、ヘイトスラングいうようになったのか、女性蔑視するようになったのか。パソコンには専用のフォルダパソコンパソコンにはきちんとExcelで整理されたyoutubeのURLもあった。


 父の死後、「なぜ」を追う。もちろん死んでしまっているために直接的には聞けないので、母、姉と姪、叔父、そして大学から地域活動時代の仲間(Sさん)に取材する。人それぞれに違う父に対する印象。Sさんや叔父のの証言から、父が育った戦後間もないころの環境と海外勤務時代、損保関係の仕事(不良債権回収など)などでの好ましくない経験が通奏低音のようにずっと続いていただろうということ、また姪の証言からあるときから急にコミニュケーションがとりずらくなったこと、まとめてしまえば年代と年齢の問題ということに行きつく。

 ただこの本は、父がなぜネット右翼になったのかを解き明かすことが主題ではなく、父とうまくコミニュケーションをとれてこなかった筆者自身の問題(右翼観・左翼観など)を分析することが主題になっている。

netuyokuninattachichi-01.jpg (330891 バイト) netuyokuninattachichi-02.jpg (343155 バイト)

2023年4月記

戻る  home