公安警察

公安警察 古野まほろ 祥伝社新書 ISBN978-4-396-11673-6 980円+税 2023年3月

 筆者は公安警察畑を長く勤め、現在はミステリ作家。まずその組織を解説し、さらには仕事内容を明らかにする、といいたいところだが、どうだろう。「昭和の御代」と違って、現在は盗聴等の違法捜査はしていない(裁判で証拠にならない、ともかく裁判に持ち込んだあとも考えている)、おもに「お客様」のボランティ協力者から、わずかな対価を渡して情報を得るだけと強調する。もちろん、どうやって「ボランティア協力者」を獲得するかは明らかにしていない(できないだろうし)。

※ 「昭和の御代」(違法行為が牧歌的に出来た時代?)とか「お客様」(=監視対象)という言葉を連発しているが、違和感がある。

 また、組織全体の規模、つまり予算とか人員とかは自分でも正確なところはわからないといっている。公安のかなりのトップを経験した筆者だが、それが本当だとしたらいったい誰が全体像を把握しているのか、本当にトップクラスの人でも把握できていないとしたらそれはそれで問題。

 じつは、公安警察の活動の一端を偶然に垣間見たことがある(筆者のいう「昭和の御代」)。それは「確かな情報源」を使ってすごい細かいことまで調べている、それをまかなえるお金を使える組織なんだなというものだった。

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2023年4月記

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