禁断の進化史 更科功 NHKブックス ISBN978-4-14-188689-2 960円+税(1,023円) 2022年12月
生物全般についての進化史ではなく、人類史を考えた本。冒頭に進化系統樹について、ヒトは、通常の進化系統樹は人類がまっすぐ伸びた系統樹の、真ん中の幹のてっぺんに位置するのが多く、一番優れた生物という印象を持たれがちだが、そうではなく、すべての幹から出る枝葉の先端(現在生きているすべての生物)も皆、40億年近い生物の進化の最先端にいるという意味で、平等という大前提から出発する。
人類の進化については、おもに「意識」といういものに焦点を当てる。意識は大脳のニューロンの統合という現在の大勢を説明し、その代償として脳は人体の臓器の中で一番エネルギーを消費するものとなっているということから、そのエネルギーを供給する食糧調達と、脳の発達は微妙な関係。すなわち、脳の発達が道具作成とか仲間との協力とかより多くの食料調達を可能し、さらに発達した脳がより多くのエネルギーを消費するという関係になる。
ここで表題にようやく戻り、現生人類より大きな脳を持つ個体もいたネアンデルタール人は、もともと個体数が少なかったことと、大きな脳を維持する食料が氷河期に得られなくなった、それに対してよりエネルギー消費が少ない小さな脳(すなわち「バカ」)だったので、生き延びたというように結びつくことになる。
目次
はじめに
第1部 智慧の実はどこにあったのか
第1章 存在の偉大な連鎖
第2章 樹上生活の始まり
第3章 木の上で知性は育った
第4章 なぜヒトはよく眠るのか
第5章 直立二本足の真実
第6章 個性と自然淘汰
第7章 類人猿を超えて
第2部 進化にとって意識とは何か
第8章 不可解な脳
第9章 意識を見つける
第10章 デジタルカメラは生きているか
第11章 ヒトと機械の違い
終章 愚か者たちの楽園
おわりに
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2023年2月記