軍と兵士のローマ帝国

軍と兵士のローマ帝国 井上文則 岩波新書 ISBN+78-4-00-431967-2 960円+税 2023年3月

 ローマ帝国の軍制史というか、軍制の変遷から見たローマ帝国史という本。歴史的には共和制末期以降。

 ローマ市民みずからが兵士になっていた、つまりアマチュアの軍人の時代から(無給どころか装備も自前で揃えなくてはならない、お金持ちでないと重装備ができない)、常備軍(職業軍人、軍の維持費はシルクロード交易に対する課税)への変化、辺境防衛軍と機動軍の分離、機動軍による皇帝の殺害と擁立(それにつけても本当に多数の皇帝が殺され、また擁立だれている)、そしてローマ市民だけでは軍隊を維持できなくなって、ローマ帝国に侵入しようとする民族(ゴート族とかフン族も)も兵の供給源(固定給のない一時的な傭兵)となっていくという実態。これでは、帝国の形を維持できなるのは当たり前。

東ローマ帝国の方はそれでも、ゴート族やフン族からはにコンスタンティノープルの要害城が守ってくれたので、西ローマ帝国よりも長続きできたということらしい。

 この本では。海軍は陸軍と比べて遙かに小規模だったということで扱われてない。あのヴェスヴィオ火山噴火(79年)のさい、救援に赴いて死亡した(殉職?)大プリニウスは、海軍の将軍で、政府でも高官だったようだが、たしかに海軍上がりの皇帝はいない。

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2023年4月記

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