宇宙地球科学 佐藤文衛・綱川秀夫 講談社 ISBN978-4-06-155242-5 3,800円 2018年1月(2020年8月第3刷)
天文宇宙科学(佐藤)と地球科学(綱川)の二部に別れているが、全体の統一は取れていると思う。基本的には、宇宙科学・惑星科学・地球科学を目指す学生の教科書として書かれた本のようだ。将来専門分野に分かれて研究者の道を歩むとしても、このような全体を視る視点も忘れないで欲しい。
随所に数式や章末には演習問題も出ていて、一般の人には少しハードルが高いかもしれないが、それらはあまり気にせずに適当に読み飛ばして(こうした背景があることだけがわかればいいので)、全体の流れ・話をつかんでいけばいいと思う。
細かいことをいうとp.167の太陽から見た月の重心の軌道が地球重心の軌道の内側で太陽に対して凸になっているが、月に及ぼす引力は地球よりも太陽の方が大きいので、月の軌道が太陽に対して凸になることはないと思う。図示がすごく難しいが、つねに太陽に対して凹の形を保ちつつ、年に12回ほど地球の軌道を横切る形になるはず(例えばルーローの三角形のとがっているところを滑らかにした感じ)。
さらに細かいことになると、p.206で月が地球から遠ざかる速さを年2〜3
cmとしているが、3.8 cm程度だと思う。
https://eclipse.gsfc.nasa.gov/SEhelp/ApolloLaser.html
2022年7月記