国産航空機の歴史 零戦・隼からYS-11まで 笠井雅直 吉川弘文館 ISBN978-4-642-05962-6 1,700円 2022年12月
1903年のライト兄弟初飛行からわずか6年、当時の日本軍も航空機の重要性に気がつき、製造を決定する。また、零戦の設計者として有名な堀越二郎は東京帝大航空学科を1927年に卒業しているというから、すでにその前から航空技術者の育成を行っていることになる。
以後、欧米の技術を導入(欧米の技術者を招く、日本の技術者を派遣する、機体を輸入するなど)し、国内でも生産できる体制を作っていく。とはいっても、完全国産とはいいがたい面もある。この本ではその生産された飛行機のメーカーごとの機体数も出ているが、万オーダーの数をつくっていたようだ。当時の国力からすれば、どこかで無理をしていることになる。
戦後7年間、研究開発をGHQによって禁止され、それが解除されてようやく完成したのがYS-11、かつての軍用機の設計者たちの再結集。YS-11は少し売れたようだが、もう現在は日本の技術力、さらには販売力では各国の航空会社が買うようなものは作れなくなっている。
戦前からずっとつきまとってきた問題がエンジン、優秀なエンジンは結局できなかった(水冷式や過給器付き)、YS-11のエンジンもロールスロイス製だし(それでもパイロットは低出力に悩んだといいう)。
2023年2月記