科学リテラシーを磨くための7つの話 一ノ瀬正樹・児玉一八・小波秀雄・野徹・高橋久仁子・ナカイサヤカ・名取宏 あけび書房 ISBN978-4-87154-204-3 1,980円 2022年3月
各章の筆筆者は裏表紙帯の目次を参照。筆者たちの関係はわからない。
第1章から第4章は、新型コロナウイルスとワクチンに対する”陰謀論”や反ワクチン論、根拠のない対策(自治体の長が飛びついたものもありました)、さらには便乗商法を批判していく。便乗商法に対する批判はわかりやすい。”陰謀論””反ワクチン論”にはまった人に対する説得方法も出ているが、これは実際には難しいと思う。なんか、ああいう人たちとは、根源的なところで違ってしまったという感じがするので。
※ 陰謀論や反ワクチン論の人たちとはできるだけ接触を避けている。でも、やむを得ないときも。
第5章は、リスクの考え方と対応の仕方だが、正直よくわからなかった。哲学者の話は、言葉の意味を厳密に考えていくので難しい。
第6章、第7章は放射線の問題。第6章は原発事故の放射能汚染地域での“過剰診断”について、第7章は放射線の危険の評価、とくに福島第1原発汚染水のALPS処理後のトリチウムの評価についてである。この2章は違和感がある。その根本は、“原発”とその“事故”全体に対する評価がなく、つまりそれを捨象して個別問題を取り上げているからだと思う。後者についてはとくに線量限度と閾値の評価。両者について共通するのは“反原発派”とひとくくりにして、それを非科学的と断罪しているところ。まあ、一部の反原発派との対応に疲れたいうこともあるのだろうが。
全体としていろいろな視点が展開されているので、それに対応して自分の考えを再確認・再構築することができる。
2022年2月記