人類の起源 篠田謙一 中公新書 ISBN978-4-12-102683-5 960円 2022年2月
DNA解析(ミトコンドリアやY染色体ばかりではなく)から人類、とくにホモ・サピエンスの歴史を探る。人類史、とくにホモ・サピエンス史の最前線。まだ、解析された人類化石は少ない、つまり偏りがあるのでいろいろと断定はできないが、それでも今後の研究の大筋は見えてきているようだ。もちろん、DNA解析ばかりではなく、考古学などの資料発掘も重要。
ネアンデルタール人やデニソワ人の遺伝子も、現生人類に入り込んでいることはもう確実になっている。
もちろん日本人の起源についても議論されている。ただ、資料が少ないようだ。
いずれにしても、筆者が最後に強調している、世界各地の現代人の系統樹の距離での差よりも同じ地域集団内の個人間の差の方が遙かに大きいということ、“民族”という集団は流動的で“純粋な民族”などないということ、世界中のホモ・サピエンスは遺伝的にはほぼ均一であることはとても重要なことだと思う。
2022年4月記