陰謀論

陰謀論 秦正樹 中公新書 ISBN978-4-12-102722-1 860円 2022年1月

 この本は、世の中に広まる陰謀論の正体を暴くというものではなく、「誰がなぜ陰謀論を信じるのか」を追求しているものである。その方法も紹介しているが、なかなか難しい。ただ結論は、とくにtwitter が陰謀の巣窟ではないとか、自分を「ふつうの日本人」と思っている人ほどネット右翼(ネトウヨ)やオンライン排外主義にはまりやすいとか、左派・リベラル、あるいいは政治への関心が高い(より情報を把握しているはず)の人でも「自分の信念に沿うもの」は受け入れてしまうとかが明らかになったという。

 つまり、筆者が最初と最後にまとめているが、「誰が陰謀論を信じているか」ということに対し、「自分の信念に合致していれば、誰でも信じてしまう。」ということなのだろう。

 でもやはり、Twitter社の今後は危うい感じがする。経営権を握った人の言動を考えると。彼に批判的なユーザーはどう反応するのだろう。

目次
第1章 陰謀論の定義−検証可能性の視点から−
第2章 陰謀論祖ソーシャルメディア
第3章 「保守」の陰謀論−「普通の日本人」というレトリック
第4章 「リベラル」の陰謀論−政治的少数派がもたらす誤認識
第5章  「政治に詳しい人」と陰謀論−「政治に詳しいこと」は防波堤になるか
第6章 民主主義は「陰謀論」に耐えられるのか?

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2022年11月記

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