ヒトは<家畜>として進化した

ヒトは<家畜>として進化した ブライアン・ヘア、ヴァネッサ・ウッズ 藤原多伽夫訳 白揚社 ISBN978-4-8269-0239-7 3,000円+税 2022年6月

 よくわからない本だった。何が一番わからないのかというと「家畜化」ということ、とりわけ「自己」家畜化、これが明確にされていない。筆者たち(夫婦)の他の本では説明されているのかもしれないが、この本だけではわからない。

 彼らの「家畜化」は、他者を受け入れる、他者と友好的になれるということらしい。それが“集団知”を生み、他の生物、とりわけ他の人類との差になったということらしい。でも実証的に、その「自己家畜化」の進化の道がたどられているわけではない。

 この本では、社会心理学的なものが多く語られている。他人に対して、どういう場合に友好的になるか、どういう場合に敵対的になるか、心理学的実験、またヒトの行動を左右するホルモン(オキシトシン)などの説明が多い。ちょうどトランプが大統領に当選するころに書かれたので、彼の手法も分析している。まあ、彼の手法が危険であることは、わかる人(社会的なヒト)にはこの本を読まなくてもわかるだろうが、そうでもない現実が一番ヒトの怖いところかもしれない。

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2022年11月記

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