ハレム

ハレム 小笠原弘幸 新潮選書 ISBN978-4-10-6038777-8 1,650円+税 2022年3月

 妖しい印象を抱くハレム(ハーレム・後宮)、その実態をオスマン帝国のハレムを対象に明らかにしていく。何しろ、皇帝の跡継ぎを絶やさないという公的な“仕事”と、皇帝の私生活という微妙な接点。さらにオスマントルコ帝国初期には、兄弟殺し(新たに皇帝になった皇帝の兄弟は殺される)という風習もあったという(→後になくなる)。大変な世界。

 なんとなくハレムというとイスラムの世界を思い浮かべるが、中国歴代王朝や江戸幕府(大奥)にもあった。さらに、イスラムと中国には宦官という者もいた。なぜ日本には宦官が誕生しなかったのはわからない。

 やはりハレムのイメージはアラビアンナイト(千夜一夜)の影響が強い。おもな舞台はアッバス朝のペルシャ(8世紀半ば〜13世紀半ば)のバグダード、この本とは時代も場所も違う。どのような違いがあったのだろう。

 あとイスラム文化でいつも疑問に思うのは飲酒に対する規制。アラビアンナイトではいろいろなところで飲酒の場面が出てくるし、この本でも“飲酒王”というあだ名の皇帝もいたという。まあ、どこでも表の裏があり、その程度の違いかもしれない。マレーシア(ボルネオ)の屋台でも、表には置いてないが頼めばお酒は出た。パキスタンなどは、国営のビール工場があり、パキスタン航空内ではお酒が飲めた。パキスタン北部のフンザでも“地酒(フンザワイン)”があった。

 

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2022年7月記

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